【時事解説】ガバナンスを支えるのは倫理観 その2

社外取締役の導入などの外形的な統治制度もガバナンスの構築に相応の効果があることは事実です。ただ、そうしたことを整備すればそれですべてオーケーではないということは認識しておかなければなりません。外形的な不祥事防止策や統治体制を整備したところで、不心得者がいれば、どんな防御壁も必ず乗り越えてしまいます。岩井氏が言う通り、会社のガバナンスは究極的には社内で実質的に業務を行う役職員の倫理観によることを忘れてはいけません。

 東芝のように、会社幹部である取締役が不祥事に関与していると、その打撃は致命的で、信頼の回復は容易ではありません。取締役の倫理観は絶対要件です。取締役は人数が限られていますから、取締役の倫理観を保つことはさほど困難ではありませんが、難しいのは人数が多い一般社員の倫理観の醸成です。「ならば、社員向けに倫理研修を増やせばいいじゃないか」と考えるのは、それこそ外形的な体制整備に過ぎません。

 何か問題が起きたとき、外形さえ整えれば、それで十分と考えるのは短絡的です。無論、会社外部の人から見れば、外形が整っていることは重要です。しかし、会社内部の人間に問われているのは整えた外形を実質的にどう機能させるかということです。
 月並みな表現になりますが、「形に心を入れる」ことが経営者の役割だといえます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】ガバナンスを支えるのは倫理観 その1

東芝の不適切会計、神戸製鋼のデータ改竄、スルガ銀行の不正融資問題など、企業不祥事が続いています。そうしたこともあり、上場企業のガバナンス(統治)体制の改革が大きなテーマとなっています。
 取締役の大多数が社内出身者であることが、不祥事発生の一因になっているのではないかということから、一般株主、あるいは社会からの視点を会社の意思決定に入れるべきだということで、社外取締役の存在がクローズアップされています。

 こうした考え方に対し、著名な経済学者である岩井克人氏は以前、日本経済新聞のインタビューで次のように述べていました。
 「社外取締役の義務化といった外形的な統制制度を整備しても限界がある。会社のガバナンスは究極的に、経営者、さらには従業員の倫理性によって支えられているからである。」

 会社ガバナンスの最終的な砦は外形的な統制制度ではなく、社内の役員、従業員の倫理観だというのです。東芝は社外取締役の整備などでガバナンスの優等生といわれていただけに、この言葉は説得力を持って我々の胸に響きます。

 社外取締役等の外形的な統治制度が不要というわけではありません。もし不祥事が起きた時に、標準とされる外形的な統治制度が不十分であれば、不祥事発生の原因は統治体制の欠如に帰せられてしまうからです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

国税庁HP新着情報

7月9日時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成30年7月6日

≪法令等≫
●キャッシュアウト取引において、ポスレジから打ち出される「レシート・キャッシュアウト明細書」及び「口座引落確認書」に係る印紙税の取扱いについて(文書回答事例)(平成30年6月18日)
●「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)
●「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)
●「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
●租税特別措置法関係通達(法人税編)等の一部改正について(法令解釈通達)
●「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

 

【助成金補助金診断ナビ】新着助成金ニュース

2018年7月6日更新の新着助成金情報についてご案内いたします。
※助成金に関する詳細は、ゆりかご倶楽部「助成金補助金 診断ナビ」でご確認いただけます。

【経済産業省】
●平成29年度補正予算 「事業承継補助金(後継者承継支援型)」 2次公募
 事業承継(事業再編、事業統合を除く)を契機として、経営革新や事業転換を行なう中小企業者に対して、その新たな取組に要する経費の一部を支援する目的で補助金を支給します。

●平成29年度補正予算 「事業承継補助金(事業再編・事業統合支援型)」
 事業再編・事業統合を含む事業承継を契機として、経営革新や事業転換を行なう中小企業者に対して、その新たな取組に要する経費の一部を支援する目的で補助金を支給します。

【他省庁/都道府県】
●平成30年度予算 環境省 「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業)」
 環境省では、投資余力の少ない中小トラック運送業者を対象に、燃費性能の高い最先端の低炭素型ディーゼルトラックの導入を促進し、トラック輸送におけるCO2排出削減を図る事業者を支援する目的で補助金を支給します。具体的には、低炭素型ディーゼルトラックを導入する事業について、車両導入経費の一部を補助します。

●平成30年度予算 環境省 「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(先進環境対応トラック・バス導入加速事業)」
 環境省では、運輸部門CO2排出量の約3割を占める貨物車・バス由来のCO2排出量を削減するため、最も燃費性能のよいトラック・バス(電気自動車、大型天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車)の導入し、CO2排出削減を図る事業者を支援する目的で補助金を支給します。

上記に関する詳しい情報は、ゆりかご倶楽部「助成金補助金 診断ナビ」をご確認ください。
※上記以外の新着助成金情報もご確認いただけます。

 

所有者不明土地、民間使用可能に

所有者が分からないまま放置されている土地を公共目的で使いやすくするための特別措置法が、参院本会議で可決、成立しました。都道府県知事が最長10年間の「利用権」を設定し、市町村や民間企業などの事業者に対して「所有者不明土地」の使用を認めるというものです。

 何代にもわたって相続登記されずに登記名義人が転居しているなど、所在がわからない土地の合計面積は九州よりも広いといわれています。高齢化の影響もあり、2040年には北海道の9割にあたる約7200ヘクタールに達する可能性もあるといいます。

 特措法では、所有者不明土地を公共事業用地として利用する場合、反対する権利者がいないことを条件に収用手続きを簡素化できるようになります。希望する事業者は、都道府県知事に対して利用権取得を申請。土地の目的に一定の公共性があると認定されれば、土地利用権を取得できます。

 土地使用が認められた事業者は、あらかじめ賃料相当額を補償金として法務局に供託します。所有者が現れたら、利用権が切れた後に使う前の状態に戻さなければなりません。ほかにも、政府は相続登記の義務化や所有権の放棄を可能にするなどの対策も検討しています。
<情報提供:エヌピー通信社>

消費税の「還元セール」解禁へ

政府は2019年10月の消費税率10%への引き上げ後の急激な消費の落ち込みに備え、現行制度で禁止されている「消費税還元セール」の解禁や、住宅、自動車購入者への減税などを検討します。与党税制調査会と協議し、年末までに具体策を決める方針です。

 14年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた際は、増税前の駆け込み需要の反動などで個人消費が急激に落ち込み、景気に深刻な打撃を与えました。内閣府の試算によると、当時のマイナスの影響は反動減で3兆円程度、増税による物価上昇で2兆円台半ば。この時の反省を踏まえ、個人消費が増税後に大きく落ち込まないような対策を講じます。

 消費税還元セールは、小売店が「消費増税分を値引きする」と消費者にPRするセール。小売店に商品を納入する中小企業が値引き分の負担を強要される問題が発生したため、前回増税時に特別措置法で禁止されました。しかし大手小売店が法律違反にならないよう商品価格を一斉に値上げしたことで、個人消費の落ち込みに拍車がかかった可能性が指摘されています。このため、政府は中小企業に負担のしわ寄せがいかないよう監視を続けたうえで、消費税還元セールの解禁を検討します。

 一方、住宅や自動車については、増税後に購入しても負担が大きくならないよう減税制度を拡充します。
 10年間で最大500万円が控除される住宅ローン減税については、控除額の引き上げなどを検討。自動車購入時に燃費性能に応じて0~3%かかる新税については、免税対象となる車種の増加などを検討するとみられます。
 政府は数兆円規模の大型の経済対策も検討。増税に向け万全の体制を講じます。
<情報提供:エヌピー通信社>

国税庁HP新着情報

7月6日時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成30年7月5日

≪刊行物等≫
●平成30年度版暮らしの税情報を掲載しました
●「適用額明細書記載の手引(連結法人用)」を掲載しました

≪お知らせ≫
●「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(馬券の払戻金に係る所得区分)に対する意見公募の結果について

 

(後編)2018年度税制改正:相続税申告書の添付書類の見直し!

(前編からのつづき)

 法定相続情報一覧図の写しとは、相続登記の促進を目的として、2017年5月から全国の法務局で運用を開始した法定相続情報証明制度を利用することで交付を受けることができる証明書をいい、戸籍に基づいて、法定相続人が誰であるかを登記官が証明したものです。
 相続手続きは、法定相続情報一覧図の写しを利用することで、戸籍関係の書類等一式を何度も提出する必要がなくなりました。

 これまで相続人は、遺産に係る相続手続きに際し、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍関係の書類等一式を全て揃えた上で、同じ書類を管轄の異なる登記所や各金融機関など、相続手続きを取り扱う各種窓口に何度も提出する必要がありましたが、法定相続情報一覧図の写しは、様々な相続手続きに利用されることで、相続手続きに係る相続人・手続きの担当部署双方の負担の軽減が期待されています。

 なお、法定相続情報一覧図の写しは、相続人等が亡くなった人の本籍地・最後の住所地、申出人(相続人など)の住所地などを管轄する法務局のいずれかで、必要種類と合わせて申出をすることで、無料で交付を受けられます。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)2018年度税制改正:相続税申告書の添付書類の見直し!

 2018年度税制改正において、相続税申告の添付書類の改正も行われ、相続税法施行規則の改正により、2018年4月1日以後に提出する申告書から法務省が行っている法定相続情報証明制度で取得が可能な法定相続情報一覧図についても、一定の条件をもとに添付書類として認められております。
 これまでは相続税の申告書には、戸籍の謄本で被相続人の全ての相続人を明らかにするものを添付しなければならないこととされていました。

 しかし、2018年4月1日以後は、戸籍の謄本に代えて、図形式の法定相続情報一覧図の写し(子の続柄が、実子又は養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限る)あるいは戸籍の謄本又は法定相続情報一覧図の写しをコピー機で複写したもののいずれかの書類を添付することができるようになりました。
 ただし、被相続人に養子がいる場合には、その養子の戸籍の謄本又は抄本(コピー機で複写したものも含む)の添付も必要となりますので、該当されます方はご注意ください。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

国税庁HP新着情報

7月5日時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成30年7月4日

≪法令等≫
●「平成30年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)

≪お知らせ≫
●特定個人情報保護評価書を更新しました。