(後編)中小企業庁:税制改正された事業承継税制をPR!

(前編からのつづき)

 しかし、改正後はこの雇用要件を実質的に撤廃したことで、雇用維持要件を満たせなかった場合でも納税猶予が継続可能(雇用維持ができなかった理由が経営悪化又は正当なものと認められない場合、認定支援機関の指導・助言を受ける必要あり)になります。
 そして、改正前は一人の先代経営者から一人の後継者へ贈与・相続される場合のみが対象でしたが、改正後は親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者への承継も対象になり、中小企業経営の実状に合わせた多様な事業承継を支援します。
 最大3人までの後継者が対象となりますが、複数人で承継する場合は、議決権割合の10%以上を有し、かつ、議決権保有割合上位3位までの同族関係者に限られます。

 さらに、改正前は後継者が自主廃業や売却を行う際、経営環境の変化により株価が下落した場合でも、承継時の株価を基に贈与・相続税を納税するため、過大な税負担が生じる可能性がありましたが、改正後は売却額や廃業時の評価額を基に納税額を再計算し、事業承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免することから、経営環境の変化による将来の不安が軽減されております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)中小企業庁:税制改正された事業承継税制をPR!

中小企業庁は、2018年度税制改正において改正された中小企業経営者の次世代経営者への引継ぎを支援する税制措置の創設・拡充をPRしております。
 事業承継の際の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制は、今後5年以内に特例承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う者を対象として抜本的に拡充されました。
 主な内容として、対象株式数・猶予割合の拡大、対象者の拡大、雇用要件の弾力化、新たな減免制度の創設などがあります。

 改正前は、先代経営者から贈与・相続により取得した非上場株式等のうち、議決権株式総数の2/3に達する部分までの株式等が対象(贈与・相続前から後継者が既に保有していた部分は対象外)でしたが、対象株式数の上限を撤廃し、猶予割合を100%に拡大したことで、事業承継時の贈与税・相続税の負担が軽減されます。
 また、改正前は事業承継後5年間平均で雇用の8割維持が求められ、雇用8割を維持できなかった場合には、猶予された贈与税・相続税の全額を納付する必要がありました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

国税庁HP新着情報

7月3日時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成30年7月2日

≪トピックス≫
●平成30年分の路線価図等を公開しました

≪税の情報・手続・用紙≫
●「相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)」を掲載しました
●「よくわかる消費税軽減税率制度(平成30年7月)」を掲載しました
●「放射性物質に対する酒類の安全性確保のための施策について」を更新しました

≪刊行物等≫
●「相続税の申告のしかた(平成30年分用)」を掲載しました

≪法令等≫
●平成30年中に相続等により取得した原子力発電所周辺の避難指示区域内に存する土地等の評価について(法令解釈通達)
●平成29年12月21日付課法2-22ほか2課共同「租税特別措置法関係通達(法人税編)等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明について
●「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律に係る法人課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
●「法人課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

《コラム》将来の年金額を増やすには

◆厚生年金加入者の増加
 人生100年時代に備えて将来の年金額を増やす為、厚生年金に積極的に加入したり、年金の受給開始時期を繰り下げたりする人が増えているそうです。特に厚生年金の加入は国の予想を上回るペースであり、税制優遇措置の大きい個人型確定拠出年金(イデコ)の加入者も拡大しています。終身受けられインフレにも一定の対応がある公的年金を、長寿社会に向けた備えとして自ら上乗せを検討する人が増えています。
 2016年秋に年金制度が改正され501人以上の企業で週20時間以上勤務するパート等が厚生年金の加入対象者となりました。保険料負担を嫌って短時間勤務を選ぶ人が多いとみていた厚労省社会保障審議会は加入者の増加数に驚いたそうです。新規加入者25万人の予想を上回り、昨年末時点で1.5倍の37万人が新たに加入したからです。
 労働政策研究・研修機構の調査でもこの改正で働き方を変えた人の58%が手取りを減らさないよう時間延長をした上で厚生年金の加入を選んだと言う事です。

◆60歳以降の働き方も変化
 60歳以降で60代前半の男性の就業者に占める厚生年金の加入率は、平成12年度の51%から16年度は67%となり60歳代後半も同35%から41%へと上昇しています。再雇用制度もあり定年後も働き続ける人は年々増えていますが「年金を増やせる働き方」を選ぶ人が増えています。企業には負担が増えますが、人手不足の中、人材確保の為に希望すれば受け入れる企業も増えています。

◆公的年金の繰り下げ支給
 公的年金は原則65歳から受給できますが、70歳まで受給を遅らせると42%増額されます。平成16年度では新たに基礎年金の受給権を得た人の2.7%が繰り下げを選択、2年前の2倍弱となっています。しかし繰り下げ受給には60歳代後半を乗り切る資産や収入源等の準備も必要でしょう。
 また、長期資産形成にはイデコも選択肢の一つです。掛け金を預貯金や投資信託で運用し掛け金は所得控除、運用益は非課税です。今年3月末の加入者は約85万人と16年末の2.8倍になっています。今までは個人からの掛け金拠出だけでしたが、この5月から社員100人以下企業の事業主は上乗せする事もできるようになりました。

 

《コラム》電子申告と法的根拠

◆電子申告と租税法体系
 電子申告の普及が足踏み状態と言われる打開策として、まず大企業の電子申告義務化が法人税法に記されました。
 ところで、法人税法ほか租税法全般を眺めても、この大企業電子申告義務化条文以外に、電子申告についての規定を見つけることは出来ません。
 現在の電子申告の手続きは、租税法体系の中に根拠を持つのではなく、平成14年に行政手続法の特別法として立法された行政手続オンライン化法に拠っているからです。

◆行政手続オンライン化法と省令・告示
 行政手続オンライン化法は、条文数12条の短い法律で、「行政機関への申請、届出は各省令で電子手続化に出来、それを書面提出とみなし、署名押印等は不要」と定めています。他の法令で書面提出を定めていてもそれにかかわらず、と規定しているので、租税法にとっても特別法の地位にあり、特別法優先の原則が働くことになります。
 この法律を承けた財務省電子化省令は、国税の電子申告のための手続きを定めています。全10条で短いです。
 税理士関与での電子申告では、納税者の電子署名は不要で、税理士の電子署名だけでよい、との規定は、この省令にはなく、この省令を承けた国税庁告示に記されています。

◆電子申告と手続的保障原則
 租税法律主義は憲法原則とされ、その内容の一つとして、租税の賦課・徴収は公権力の行使により国民の権利を侵害するものである以上、適正な手続きで行われなければならないとの、手続的保障原則があると解されています。行政手続きの一般原則においても、適正手続きの要請があります。
 納税者の事情を考慮しない手続規定は、例え法律で定めたとしても、憲法の要請するそもそもの租税法律主義の原理的趣旨の一つである国民主権主義に反している、ことになります。

◆電子申告義務化と手続的保障原則
 書面で申告書を提出しても無申告扱いとなる、という今年創設の電子申告義務化規定は、たとえ、大企業限定であろうが、租税法律主義の手続的保障原則および行政手続きの適正化の原理に反している、と思われます。
 訴訟で決着を付けざるを得ないのでしょうが。

レジ補助金の詐欺に注意

複数税率対応のためのレジ導入に最大200万円を受け取れる補助金を利用した詐欺が増えているとして、補助金事務局が注意を呼び掛けています。消費増税と軽減税率導入が予定される来年10月に向けて、事業者の対応もいよいよ本格化してきていますが、詐欺の電話にだまされないよう、注意を欠かさないようにしたいところです。

 軽減税率対策補助金事務局は「注意喚起」とする文書をホームページ上に掲載しました。それによれば、「最近、公的機関を装ってレジスター購入を持ち掛ける勧誘の事案が発生」しているそうです。事務局は、「公的機関がレジスター購入を持ち掛けることはあり得ません」として、不審な勧誘に惑わされないよう呼び掛けています。

 事案の詳細について事務局は触れていませんが、九州北部税理士会がホームページに掲載したところによれば、①県の職員をかたって金銭の振り込み依頼してきた、②レジを含む200万円の高額商品を契約させられた――などの事案が実際に起きているようです。九州北部会は「地域によって様々な手法を駆使してくることが想定されます」として、こちらも怪しい勧誘や不必要な設備取得の誘いに注意するよう求めています。

 同補助金は、補助金は8%と10%の2種類の消費税率に対応するため新たなレジやシステムを導入する企業をサポートするもので、最大200万円を支給するものです。締切は2019年9月30日で、この日までに新たなレジやシステムの導入を終え、その後、事後申請書を提出することが必要となります。補助金の申請受付そのものの締切は、19年12月16日までとなっています。

 補助される金額は導入にかかったコストの3分の2で、レジ1台当たり20万円上限、ただし導入するのが1台のみで費用が3万円未満であれば4分の3、タブレットなどの汎用端末であれば2分の1です。また新たに商品マスタの設定や機器設置運搬などに費用がかかる時には、さらに1台あたり20万円を上乗せします。
<情報提供:エヌピー通信社>

平成30年7月の税務

7/10
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

7/17
●所得税の予定納税額の減額申請

7/31
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付

海外転出後もマイナンバー利用可に

 海外に移住した人がマイナンバーを利用した個人認証などを引き続き使えるようにする案を、総務省が検討しています。現在は日本で一度マイナンバーを付番された人が国外に転出する時には、住民票がなくなると同時にマイナンバーも失効します。総務省は将来的には、海外に住む有権者がインターネットを通じて国政選挙に投票できるようにする方針とのことです。

 マイナンバーは住民票を元に付与されるため、国内に住所のない、海外移住者などには付番されていません。また国内居住者も、海外転出の際には一旦マイナンバーを失い、再び帰国して日本に住む時には同じ番号を使うことになっています。

 総務省の案では、マイナンバーの情報を住民票ではなく戸籍の付票に紐付けることで、マイナンバーカードを利用した行政手続きなどを海外からでも引き続き使えるようにするものです。

 ただし現状で対象となっているのは、あくまで一度国内でマイナンバーを付与された人に限っています。番号制度の開始前から海外に住んでいて、現在までにマイナンバーを付与されていない人が行政手続きなどにマイナンバーを利用したければ、一時帰国して国内の住所への転入手続きなどを経る必要があります。
<情報提供:エヌピー通信社>

都が五輪期間中の宿泊税免除

 東京都は、東京オリンピック・パラリンピックの開催期間を含む2020年7月1日から9月30日までの3カ月間、都内のホテルや旅館の利用者から徴収する宿泊税を免除する方針を明らかにしました。東京都宿泊税条例改正案を都議会定例会に提出する予定です。

 都の宿泊税は、「国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てる」ことを目的とし、02年10月に全国で初めて導入された法定外目的税。ホテルや旅館の宿泊者を対象に、宿泊料金1人1泊が「1万円以上1万5千円未満」で100円、「1万5千円以上」で200円を徴収しています。18年度の税収は25億円を見込んでいます。

 都は招致段階に国際オリンピック委員会(IOC)に対し、各国の代表選手やコーチなどの大会関係者には宿泊税を課さないと約束しています。しかし対象を限定すると、税を徴収する宿泊施設側の事務負担が増大するため、混乱を引き起こす恐れがあることを考慮し、観戦者やボランティア、観光客を含め、一律で課税を見送ることにしました。都主税局では、3カ月間の課税免除で約5億5千万円の減収になると予想しています。
<情報提供:エヌピー通信社>

国税庁HP新着情報

6月29日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成30年6月28日

≪税の情報・手続・用紙≫
●「地ビール等製造業の概況(平成28年度調査分)」及び「単式蒸留焼酎製造業の概況(平成28年度調査分)」の公表について

≪お知らせ≫
●酒類の地理的表示として「北海道」及び「灘五郷」を指定する件(案)」に対する意見募集の結果について(e-Govへリンク)
●ぶどう酒の地理的表示として「北海道」及び清酒の地理的表示として「灘五郷」を指定しました