公正証書遺言が10年で5割増

2017年に全国の公証人が作成した「公正証書遺言」の件数が11万191件に上り、07年の7万6436件に比べ5割増しになっていることが分かりました。日本公証人連合会によると、17年に作成された公正証書遺言は前々年の11 万778件に次ぐ多さで、統計をとり始めた1989年以降で2番目に多かったそうです。89年は年間4万件ほどでしたが、14年に10万件を超え、その後は高水準で推移している状況です。

 全文を自分で書く「自筆証書遺言」は、思いついたタイミングで費用を掛けずに残せるという手軽さがありますが、自分で保管するので紛失リスクがあり、また書き方を少しでも間違えればその全部が無効になるおそれがあります。

 一方、公正証書遺言は、手数料はかかるものの役場が原本を公文書として保管するので紛失リスクはほとんどなく、法務大臣が任命する法律のプロが作成するので遺言が無効になることはありません。確実に遺言内容を次世代に残せる方法として多くの人に利用されています。

 公正証書遺言を残す際に面倒な点を挙げると、証人が2人必要なことです。法律上、①未成年者、②推定相続人や財産を受け取る人、その配属者および直系血族、③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人――は公正証書遺言の証人になれないと決められています。
<情報提供:エヌピー通信社>

【時事解説】先送りではない、早めの決断 その2

経営者としては政府が何とかしてくれるという甘えは捨て去るべきです。政府の対策により景気が上昇するとか、業界が保護されるとか、そうした安易な期待に基づく決断先送りの経営は危険です。自分の身は自分で守るしかありません。
 そのためには、まず自前のキャッシュフローの充実が求められます。在庫や売掛金はできるだけ圧縮して資金化を早めます。

 また、遊休資産があれば処分すべきです。「今、売却すれば損が出る。現在、政府がデフレ対策を進めており、いずれインフレに転換するだろうから、そこまで資産の売却は待ちたい」などという先送りの判断はろくな結果をもたらしません。資産の値上がり期待など「絵に描いた餅」です。逆に、売却損が出るなら税金が圧縮できますから、キャッシュフロー的にはかえってプラスに作用します。安易なインフレ予想に基づき資産・負債を膨らませるのは得策とはいえません。

 M&Aは大企業の専売特許ではありません。中堅・中小企業はオーナー企業がほとんどですから、M&Aというと及び腰になりがちです。しかし、過去の延長線上に未来を描ける時代は終わったと考えるべきでしょう。成長が期待できない成熟経済だからこそM&Aに活路を見出すのです。

 前向きに発展するために他社と経営統合するということもあるでしょうし、後継者がいないから会社を売却してハッピーリタイアメントするというのも立派な選択肢です。「買われるうちが華」です。時が過ぎれば誰も買ってくれなくなります。

 待てばいい時がくるなどという幻想に期待を寄せず、現実をしっかり見据えた早めの決断が会社と従業員を救います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】先送りではない、早めの決断 その1

色々な見方はあるかもしれませんが、GDP(国内総生産)は伸び悩み、2%のインフレ目標の達成は先送りされるなど、アベノミクスも一種の曲がり角を迎えているように思われます。本来、民間企業が独自に決めるべき賃上げについて、政府が企業に要請するという官民対話に政府の焦りが感じられます。

 というのは、こうした要請は市場と政府のどちらが賢いかという、古くからある既に決着済みの問題を蒸し返しているに過ぎないからです。どんなに優秀な政治家や官僚でも、市場で行われる資源配分以上に賢い選択はできないというのが資本主義社会での結論です。政府が直接に介入し、市場とは異なる資源配分をしても、良い結果はえられないだろうというのがコンセンサスだったはずです。そんなことは、関係者は百も承知でしょう。それでも、民間企業にこうした要請をせざるを得ないところに、行き詰まり感が表現されているように思います。

 「デフレを止めるために金融緩和を行い、さらなる財政支出を行うべきなのか、あるいは今でも膨大な財政赤字を抱えているのだから将来のインフレを予防するために国債残高の圧縮に努めるべきなのか。」こうした問題についても、経済学は有効な処方箋を示すことができていません。
 そうした中で、企業経営はどうあるべきなのか、考えてみましょう。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)国税庁:悪質な滞納事例を公表!

(前編からのつづき)

 悪質な滞納事例をみてみますと、ブロック工事業を営む滞納者Aは、税務調査で売上除外を指摘され、申告所得税等の修正申告を行いましたが、Aは修正申告時点では自宅不動産以外には財産がなく、他方で多数の債権者に財産の価額を上回る債務を負っていました。
 そのため、滞納国税約500万円を一括納付できず、自宅不動産の担保提供を申し出ていたましが、不動産の登記簿を確認したところ、登記簿名義を長女に移していました。
 さらに、Aは長女から返済期限のない借入をしており、国税を納付できなくなることを知りながら、借入の返済として自宅不動産を長女に譲り渡したことを把握しました。

 多数の債権者のうち、あえて長女にした返済は、他の債権者を害する行為と判断し、長女を被告として詐害行為取消訴訟を提起した結果、勝訴判決を受けた税務署長は、自宅不動産をA名義に戻した上で、差押え(約300万円)を行い、国税の徴収を確保しました。
 なお、上記の詐害行為取消訴訟とは、国が滞納者と第三者との間における債権者(国)を害する法律行為の効力を否定して、滞納者から離脱した財産をその第三者から取り戻して滞納者に復帰させるために行うものです。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:悪質な滞納事例を公表!

国税庁では、新規発生滞納の抑制及び滞納整理の促進を図っており、処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となる訴訟を提起したり、滞納処分免脱罪による告発を活用して、積極的に滞納整理に取り組んでおります。

 原告訴訟に関しては、2016年度は158件(前年度156件)の訴訟を提起し、その内訳は、「差押債権取立」18件、「供託金取立等」6件、「その他(債権届出など)」129件のほか、とくに悪質な事案で用いられる「名義変更・詐害行為」が5件となりました。
 そして、係属事件を含め154件が終結し、国側勝訴は33件、取下げが5件、その他が116件で、国側敗訴は0件となりました。

 また、財産の隠ぺいなどにより滞納処分の執行を免れようとする悪質な滞納者に対しては、「滞納処分免脱罪」の告発を行うなど、厳正に対処しております。
 同免脱罪の罰則は、3年以下の懲役か250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科とされております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

【助成金補助金診断ナビ】新着助成金ニュース

経済産業省】
●平成30年度予算 「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」
 事業場、工場単位での省エネルギー設備の新規導入・更新を検討中の国内で事業を営む法人や個人事業主を対象に支援する目的で補助金が支給されます。この支援事業では、業種を限定していないので幅広い業種が公募可能です。

●平成30年度予算 「創業支援事業者補助金」
 産業競争力強化法の認定を受けた創業支援事業計画に基づき、市区町村と連携した民間事業者等が行う、創業支援等の取組により、新たな雇用の創出を促し、地域経済の活性化を図ることを支援する目的で補助金を支給します。

【他省庁/都道府県】
●平成30年度予算 国土交通省 「自動車事故対策補助金(在宅生活支援環境整備事業)」
 在宅で療養生活を送る自動車事故による重度後遺障害者の介護者が、様々な理由により介護が難しくなる場合等に備え、障害者支援施設等に対し、設備導入や介護人材確保等に係る経費を補助することにより、受入環境の整備を推進することで、自動車事故による重度後遺障害者及びその御家族が安全・安心して生活を送れるよう環境整備を進めることを目的として補助金を支給します。

●平成30年度 茨城県 「茨城県コンテンツ活用ブランド力UP補助金」
 茨城県では、自社の経営課題を解決するために、県内のクリエイターと連携し、 新たなコンテンツを活用して既存商品やサービス等の高付加価値化、販路の拡大、 業務効率化を図るための自社業務の改善、ブランディングや商品コンセプト作りなど行う取り組みに対して補助金を支給します。

上記に関する詳しい情報は、ゆりかご倶楽部「助成金補助金 診断ナビ」をご確認ください。
※上記以外の新着助成金情報もご確認いただけます。

(後編)国税庁:2018年分の路線価を7月2日に公表へ!

(前編からのつづき)

 2008年からは紙による路線価図等(冊子)を国税局・税務署に備え付けないことになり、公表日が1ヵ月短縮された理由として、冊子での路線価図等の制作をやめたことで、その作業時間が浮いたことにあるとみられております。

 公表日の短縮で納税者の利便性も向上しましたが、国税当局もIT化、ペーパレス化によって、コスト削減を図るとともに、2008年以降は国税局や税務署の窓口に、路線価図等閲覧用のパソコンを設置しております。
 混雑時は待つ必要もありますが、自宅や会社のパソコンから国税庁のホームページの「路線価図等の閲覧コーナー」にアクセスしますと、従来どおり、全国の過去7年分の路線価図等を見ることができます。

 なお、国税庁では、路線価公開初日から数日間は、アクセス集中により閲覧しにくい状態になることがあると注意を呼びかけております。
 路線価図等の見方などがわからない場合には、「国税に関するご相談について」を閲覧の上、最寄りの税務署に電話をかけ、自動音声に従って「1」を選択すれば電話相談センターにつながることの周知にも努めております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2018年分の路線価を7月2日に公表へ!

国税庁は、2018年分の路線価を7月2日(月)10時から全国の国税局・税務署で公表するとしております。
 路線価とは、1月1日を評価時点に、公示価格の8割程度が目安とされ、相続税や贈与税における土地等の評価額算定の際の基準となるものです。

 2017年7月に公表された2017年分の路線価では、標準宅地の前年比の変動率の平均が前年を0.2%増となり、8年ぶりに上昇した前年分に引き続き上昇しております。
 2018年1月1日時点の公示地価は、国土交通省が同年3月に公表しましたが、全国平均(全用途)で前年比0.7%プラスと3年連続で上昇し、住宅地は+0.3%と2年連続で上昇、商業地も+1.9%と3年連続で上昇しました。

 また、地方圏の商業地平均が+0.5%と26年ぶりに上昇に転じ、全用途平均でも+0.041%とほぼ横ばいながら26年ぶりに上昇している公示地価の状況をみますと、路線価も3年連続で上昇すると予想されております。
 その昔、路線価の公表日は8月1日でしたが、2008年分から7月1日となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》係争・供託と収入計上時期

◆不動産の賃料額トラブル
 不動産の賃貸借の賃料額に関して貸主と借主間で合意がならず、貸主が不合意の賃貸料の受領拒否をする場合には、借主は賃借料の弁済のために供託をします。その場合、供託金を貸主が受取るか否かにかかわらず、貸主が賃貸料収入として計上すべき時期は、契約により定められている支払日です。ただし、計上すべき額は、合意が確定している部分としての供託額です。

◆不動産賃貸契約解除トラブル
 それに対し、不動産の賃貸借契約の存否の係争の場合には、たとえ借主が賃借料の弁済のために供託をしたとしても、貸主は賃貸そのものを拒否しているので賃貸料収入の計上をしなくても差し支えありません。
 それで、その係争につき、その後判決、和解等があり、貸主が既往の期間に対応する賃貸料相当額や和解金として合意した金額(供託金を含む)を受けることとなった場合には、その計上時期は、その判決、和解等のあった日となります。

◆年金基金解散トラブル
 また、退職年金基金を設けていた会社が、継続支払い困難として、年金額の6割カットと6割部分の年金現価の一時金支払いを通知し、支払いがなされるに際し、その受領を拒否する人がいたため、法務局に供託した、というケースがありました。訴訟にもなり、和解に至りましたが、この時の一時金をめぐりさらに、税務署と係争になりました。審判所での裁決で、一時金は、退職所得ではなく、一時所得で、その計上時期は供託金の受領時期ではなく、一時金支払通知の時とされました。

◆分限免職トラブル
 もう一つ、最近の訴訟確定事案があります。中学教諭で東京都から平成16年に分限免職処分を受け、その際に退職手当の受領を拒否した上で、同処分を不服とする訴訟を提起した、というケースです。
 同訴訟は平成24年に終結し、本人は、供託されていた退職手当をその時受領し、その受領時の退職所得として還付の確定申告をしたが、税務署は、退職所得の確定は平成16年であるとして、還付申告を認めなかったので、税務訴訟となり、昨年7月東京高裁で、納税者敗訴で決着しました。
 平成16年時、退職所得の受給に関する申告書を提出していなかったようで、過剰な所得税が差引かれたままで、気の毒ですが、時効確定です。