《コラム》燃油サーチャージと出国税

◆飛行機の燃料代「燃油サーチャージ」
 海外旅行の旅券を予約しようとインターネット上のサイトを見ると「燃油」という項目の値段表示を見かける事があります。これは「燃油サーチャージ」と呼ばれるもので、変動する原油の価格に対して航空会社が燃料代をまかないきれない場合に適用される別建ての料金です。原油相場により変動し、1バレル60USドルを下回る(JALの場合)など、一定レベルまで下がれば徴収されないことになっています。
 ある会社の韓国行きの、ここ数年の往復サーチャージ金額を比較してみると、2014年の5,000円が最高、2016年の0円が最低となっています。
 2か月に1度価格の見直しが行われる航空会社が多いので、予約する日を遅くしたり早くしたりすると、ちょっとした旅費の節約になる場合もあります。

◆旅券に1,000円上乗せ?「出国税」
 平成30年の税制改正で27年ぶりに新税が創設されました。「国際観光旅客税」というもので、国籍を問わず、日本からの出国1回につき1,000円を徴収するものです。
 徴収方法は「国際旅客運送事業を営む者による特別徴収」となっていますから、航空会社はチケット代に1,000円を上乗せして請求する事になるでしょう。

◆こんな時、出国税はかかりません
 厳密に言うと「出国」となる場合でも以下のケースでは国際観光旅客税はかかりません。
・航空機又は船舶の乗員
・公用機(政府専用機等)で出国
・乗り継ぎ(入国後24時間以内の出国)
・天候不良等で日本に緊急着陸した場合
・一度出国したが天候不良等で戻った場合
・2歳未満の人
・外交官等の一定の出国
・強制退去者等

◆適用は平成31年1月7日から
 来年1月からは国際観光旅客税がかかってくるので、航空会社の運賃に税が上乗せされての料金が表示される事になるでしょう。燃油サーチャージや航空会社・チケット会社のサービス等を見極めて、お得に海外に旅立ちたいものですね。

 

「横目」調査裁判の脱税職員が免職

大阪府寝屋川市は5月22日、所得税の脱税で有罪判決を受けた同市職員の被告男性(48)を懲戒免職処分としました。男性はインターネットで購入した馬券で当てた約3億円を申告せず、所得税法違反に問われていました。

 男性の裁判では、課税庁が税務調査の際に本来の目的とは別の銀行口座を見て情報を得る「横目調査」の有効性が問われていました。男性は横目調査に基づく税務調査は無効と主張しましたが、大阪地裁は5月9日の判決で「違法な手法である疑いは残るものの、違法性が重大とまでは認められない」として調査の有効性を認め、男性に懲役6カ月、執行猶予2年、罰金1200万円の有罪判決を下しています。なお男性は、所得税の脱税という起訴内容そのものについては否認せず、争っていませんでした。

 判決を受け、被告男性が税務室課長を務めていた寝屋川市は、これまで起訴休職中としていた男性を懲戒免職としました。市人事室は「納税者の模範となるべき立場でありながら、市役所への信用を失墜させた」としています。なお男性は判決を不服として控訴しています。
<情報提供:エヌピー通信社>

経営革新で最大200万円補助

中小企業庁は6月8日まで、事業承継をきっかけにして経営革新や事業転換に取り組む企業を対象にした「事業承継補助金」を公募しています。補助上限は取り組みによって2パターンに分かれていて、新商品の開発などの「経営革新」は200万円、既存事業の廃止などの「事業転換」は500万円となっています。

 補助金は事業承継後の取り組みに掛かった費用の最大3分の2の金額を国が出すもの。対象になる「経営革新」とは、新商品の開発や新分野への挑戦といったビジネスモデルの転換による新市場開拓と、製造ラインのIT化や顧客管理システムの刷新など新規設備の導入による生産性向上を指します。一方の「事業転換」は、事業所の廃止や既存事業の集約・廃止が補助対象となっています。後継者には適用要件があり、①役員や個人事業主として3年以上の経験があること、②引き継いだ会社もしくは同業種の会社に6年以上の勤務経験があること、③創業・承継に関する研修を受講していること――のいずれかに該当しなければなりません。

 なお補助金の申請の際には、「認定支援機関」に登録している税理士などの資格者に、「地域に貢献する中小企業であること」「経営革新の内容に独創性があること」などについて確認を受ける必要があります。
<情報提供:エヌピー通信社>

6月4日朝時点での国税庁HP新着情報

6月4日朝時点での新着情報は、以下の通りです。

国税庁ホームページ掲載日:平成30年6月1日

≪税の情報・手続・用紙≫
●平成30年度 中学生の「税についての作文」募集

≪刊行物等≫
●「収益認識に関する会計基準」への対応について

≪法令等≫
●法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)

≪お知らせ≫
●収入印紙の形式改正について(PDF/299KB)

≪国税庁等について≫
●第19回国税審議会 議事録の掲載について
●第19回国税審議会酒類分科会の議事録の掲載について

 

平成30年6月の税務

6/11
●5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収額(前年12月~当年5月分)の納付

6/15
●所得税の予定納税額の通知

7/2
●4月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●10月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)

 

(後編)国税庁:2016年度分会社標本調査結果を公表!

(前編からのつづき)

 黒字法人の営業収入金額は同2.3%増の1,144兆4,408億円と増加に転じ、所得金額は同3.9%増の59兆4,612億円で過去最大となりました。
 営業収入に対する所得金額の割合(所得率)は、前年から0.1ポイント上昇の5.2%となり、黒字法人について、業種別の所得率をみてみますと、「鉱業」が11.1%、「不動産業」が10.4%となり、法人税額は10兆4,676億円で、前年度より0.3%減少しました。

 また、所得税額控除は3兆1,733億円で、同18.2%減となり、外国税額控除は5,104億円で、同7.0%減となり、2年連続で減少しました。
 繰越欠損金の当期控除額は7兆5,951億円で、同7.4%減と3年連続減少し、翌期繰越額は68兆4,167億円で、同4.7%増となり、2年連続の増加となりました。
 一方、2017年3月までの1年間に全国の企業が取引先の接待などに使った交際費は、前年度に比べ4.1%増の3兆6,270億円となり、5年連続で増加しました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2016年度分会社標本調査結果を公表!

国税庁は、2016年度分会社標本調査結果を公表しました。
 それによりますと、2016年度分の法人数は267万2,033社で、前年度より1.1%増加しました。
 このうち、連結親法人は1,645社で同3.9%増、連結子法人は1万1,908社で同4.3%増加しました。
 連結子法人を除いた266万125社のうち、赤字法人は168万9,427社で、赤字法人割合は前年度比0.8ポイント減の63.5%となって、7年連続で減少しました。

 業種別(連結法人を除く)の赤字法人割合をみてみますと、「出版印刷業」が75.8%で最も高く、以下、「繊維工業」が74.5%、「料理飲食旅館業」が73.8%、「小売業」が71.1%、「食料品製造業」が70.9%と続きました。
 反対に、低い順にみてみますと、「運輸通信公益事業」が57.5%、「建設業」が57.6%、「不動産業」が60.1%となりました。
 また、2016年度分の営業収入金額は、前年度に比べ0.1%増の1,450兆8,100億円となり、増加に転じました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

6月1日朝時点での国税庁HP新着情報

6月1日朝時点での新着情報は、以下の通りです。

国税庁ホームページ掲載日:平成30年5月31日

≪税の情報・手続・用紙≫
●「平成30年分給与所得の源泉徴収票の記載のしかた」を掲載しました
●「平成30年分以後の公的年金等の源泉徴収票」を掲載しました

≪法令等≫
●消費税法基本通達の一部改正について(法令解釈通達)(平成30年5月29日)
●適用額明細書の記載に係る区分番号一覧表等の掲載について
●財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)
●平成30年分の基準年利率について(法令解釈通達)

名古屋国税局の査察資料が流出

名古屋国税局が行った査察調査で、関係者の個人情報などが記載された調査関係書類が流出していたことが分かりました。局は担当者2人の処分を検討しているそうです。

 名古屋国税局によると、査察調査を担当したのは査察部の40代主査と30代査察官の2人。今年1月に調査対象法人の代表の親族に聞き取り調査を行った際に、確認のために提示した調査報告書の回収を怠ったそうです。報告書は親族が持ち帰りました。

 さらに3月にも、同じ法人の別の親族に必要書類を渡した際、法人と取り引きがあるとみられる個人や法人のリストを誤って渡しました。リストには査察部が金融機関に照会した関係先の情報が記載され、個人23人の氏名、住所、生年月日、口座番号と15法人の社名、住所、設立年月日、口座番号が記されていたといいます。

 リストが法人にわたり、関係者から「文書が流出している」と連絡があって発覚しました。局は原本とコピーを回収しましたが、関係者は「まだコピーを所持している」と話しているといい、さらなる回収に応じるよう求めています。

 調査対象法人の関係者以外への流出や査察調査への影響は現在までにないとしていますが、全容解明後には担当者2人の処分を検討するとしています。
<情報提供:エヌピー通信社>