《コラム》人材を採用し試用雇用した時に受けられる助成金

◆トライアル雇用助成金(一般トライアル)
 採用に関する助成金の中でも申請件数の多いのがトライアル雇用助成金(一般トライアルコース)です。
 概要は実務経験や能力の不足等の理由で就職が難しい求職者を、常用雇用へ移行する事を前提として最初に有期雇用契約社員として3カ月間試行(トライアル)採用します。その間面接や筆記試験でははっきりしない本人の適性や能力をじっくり確認した上で常用雇用するか否かを判断します。常用雇用に適さないと判断した場合は最長3カ月で契約期間満了として雇用を更新しない事もできます。厚生労働省によると試行採用した求職者の約8割が常用雇用に移行しています。

◆対象となる事業所・求職者は
 事前にハローワーク等にトライアル求人を申し込み、ハローワーク等の紹介により対象者を雇い入れた雇用保険に加入している事業所です。
 求職者は次のいずれかの要件を満たし、トライアル雇用を希望した方です。
①紹介日時点で就労経験のない職業に就く事を希望する
②紹介日時点で、学校卒業後3年以内で卒業後安定した職に就いていない
③紹介日の前日から過去2年以内に2回以上、離職や転職を繰り返している
④紹介日の前日時点で離職している期間が1年を超えている
⑤妊娠、出産、育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
⑥母子家庭の母、父子家庭の父等、就職支援で特別な配慮を要する

◆助成金額と申請時期
 対象者1人当たり月額最大4万円、最長3カ月で最大12万円が支給されます。
 トライアル求人をした時は雇用開始日から2週間以内に「実施計画書」を提出しておき、有期雇用終了後、2カ月以内に助成金の支給申請をします。
 また、正規雇用に至らずとも受給はできます。

【時事解説】ガバナンスを支えるのは倫理観 その2

社外取締役の導入などの外形的な統治制度もガバナンスの構築に相応の効果があることは事実です。ただ、そうしたことを整備すればそれですべてオーケーではないということは認識しておかなければなりません。外形的な不祥事防止策や統治体制を整備したところで、不心得者がいれば、どんな防御壁も必ず乗り越えてしまいます。岩井氏が言う通り、会社のガバナンスは究極的には社内で実質的に業務を行う役職員の倫理観によることを忘れてはいけません。

 東芝のように、会社幹部である取締役が不祥事に関与していると、その打撃は致命的で、信頼の回復は容易ではありません。取締役の倫理観は絶対要件です。取締役は人数が限られていますから、取締役の倫理観を保つことはさほど困難ではありませんが、難しいのは人数が多い一般社員の倫理観の醸成です。「ならば、社員向けに倫理研修を増やせばいいじゃないか」と考えるのは、それこそ外形的な体制整備に過ぎません。

 何か問題が起きたとき、外形さえ整えれば、それで十分と考えるのは短絡的です。無論、会社外部の人から見れば、外形が整っていることは重要です。しかし、会社内部の人間に問われているのは整えた外形を実質的にどう機能させるかということです。
 月並みな表現になりますが、「形に心を入れる」ことが経営者の役割だといえます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】ガバナンスを支えるのは倫理観 その1

東芝の不適切会計、神戸製鋼のデータ改竄、スルガ銀行の不正融資問題など、企業不祥事が続いています。そうしたこともあり、上場企業のガバナンス(統治)体制の改革が大きなテーマとなっています。
 取締役の大多数が社内出身者であることが、不祥事発生の一因になっているのではないかということから、一般株主、あるいは社会からの視点を会社の意思決定に入れるべきだということで、社外取締役の存在がクローズアップされています。

 こうした考え方に対し、著名な経済学者である岩井克人氏は以前、日本経済新聞のインタビューで次のように述べていました。
 「社外取締役の義務化といった外形的な統制制度を整備しても限界がある。会社のガバナンスは究極的に、経営者、さらには従業員の倫理性によって支えられているからである。」

 会社ガバナンスの最終的な砦は外形的な統制制度ではなく、社内の役員、従業員の倫理観だというのです。東芝は社外取締役の整備などでガバナンスの優等生といわれていただけに、この言葉は説得力を持って我々の胸に響きます。

 社外取締役等の外形的な統治制度が不要というわけではありません。もし不祥事が起きた時に、標準とされる外形的な統治制度が不十分であれば、不祥事発生の原因は統治体制の欠如に帰せられてしまうからです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

国税庁HP新着情報

7月3日時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成30年7月2日

≪トピックス≫
●平成30年分の路線価図等を公開しました

≪税の情報・手続・用紙≫
●「相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)」を掲載しました
●「よくわかる消費税軽減税率制度(平成30年7月)」を掲載しました
●「放射性物質に対する酒類の安全性確保のための施策について」を更新しました

≪刊行物等≫
●「相続税の申告のしかた(平成30年分用)」を掲載しました

≪法令等≫
●平成30年中に相続等により取得した原子力発電所周辺の避難指示区域内に存する土地等の評価について(法令解釈通達)
●平成29年12月21日付課法2-22ほか2課共同「租税特別措置法関係通達(法人税編)等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明について
●「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律に係る法人課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
●「法人課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

《コラム》将来の年金額を増やすには

◆厚生年金加入者の増加
 人生100年時代に備えて将来の年金額を増やす為、厚生年金に積極的に加入したり、年金の受給開始時期を繰り下げたりする人が増えているそうです。特に厚生年金の加入は国の予想を上回るペースであり、税制優遇措置の大きい個人型確定拠出年金(イデコ)の加入者も拡大しています。終身受けられインフレにも一定の対応がある公的年金を、長寿社会に向けた備えとして自ら上乗せを検討する人が増えています。
 2016年秋に年金制度が改正され501人以上の企業で週20時間以上勤務するパート等が厚生年金の加入対象者となりました。保険料負担を嫌って短時間勤務を選ぶ人が多いとみていた厚労省社会保障審議会は加入者の増加数に驚いたそうです。新規加入者25万人の予想を上回り、昨年末時点で1.5倍の37万人が新たに加入したからです。
 労働政策研究・研修機構の調査でもこの改正で働き方を変えた人の58%が手取りを減らさないよう時間延長をした上で厚生年金の加入を選んだと言う事です。

◆60歳以降の働き方も変化
 60歳以降で60代前半の男性の就業者に占める厚生年金の加入率は、平成12年度の51%から16年度は67%となり60歳代後半も同35%から41%へと上昇しています。再雇用制度もあり定年後も働き続ける人は年々増えていますが「年金を増やせる働き方」を選ぶ人が増えています。企業には負担が増えますが、人手不足の中、人材確保の為に希望すれば受け入れる企業も増えています。

◆公的年金の繰り下げ支給
 公的年金は原則65歳から受給できますが、70歳まで受給を遅らせると42%増額されます。平成16年度では新たに基礎年金の受給権を得た人の2.7%が繰り下げを選択、2年前の2倍弱となっています。しかし繰り下げ受給には60歳代後半を乗り切る資産や収入源等の準備も必要でしょう。
 また、長期資産形成にはイデコも選択肢の一つです。掛け金を預貯金や投資信託で運用し掛け金は所得控除、運用益は非課税です。今年3月末の加入者は約85万人と16年末の2.8倍になっています。今までは個人からの掛け金拠出だけでしたが、この5月から社員100人以下企業の事業主は上乗せする事もできるようになりました。

 

海外転出後もマイナンバー利用可に

 海外に移住した人がマイナンバーを利用した個人認証などを引き続き使えるようにする案を、総務省が検討しています。現在は日本で一度マイナンバーを付番された人が国外に転出する時には、住民票がなくなると同時にマイナンバーも失効します。総務省は将来的には、海外に住む有権者がインターネットを通じて国政選挙に投票できるようにする方針とのことです。

 マイナンバーは住民票を元に付与されるため、国内に住所のない、海外移住者などには付番されていません。また国内居住者も、海外転出の際には一旦マイナンバーを失い、再び帰国して日本に住む時には同じ番号を使うことになっています。

 総務省の案では、マイナンバーの情報を住民票ではなく戸籍の付票に紐付けることで、マイナンバーカードを利用した行政手続きなどを海外からでも引き続き使えるようにするものです。

 ただし現状で対象となっているのは、あくまで一度国内でマイナンバーを付与された人に限っています。番号制度の開始前から海外に住んでいて、現在までにマイナンバーを付与されていない人が行政手続きなどにマイナンバーを利用したければ、一時帰国して国内の住所への転入手続きなどを経る必要があります。
<情報提供:エヌピー通信社>

都が五輪期間中の宿泊税免除

 東京都は、東京オリンピック・パラリンピックの開催期間を含む2020年7月1日から9月30日までの3カ月間、都内のホテルや旅館の利用者から徴収する宿泊税を免除する方針を明らかにしました。東京都宿泊税条例改正案を都議会定例会に提出する予定です。

 都の宿泊税は、「国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てる」ことを目的とし、02年10月に全国で初めて導入された法定外目的税。ホテルや旅館の宿泊者を対象に、宿泊料金1人1泊が「1万円以上1万5千円未満」で100円、「1万5千円以上」で200円を徴収しています。18年度の税収は25億円を見込んでいます。

 都は招致段階に国際オリンピック委員会(IOC)に対し、各国の代表選手やコーチなどの大会関係者には宿泊税を課さないと約束しています。しかし対象を限定すると、税を徴収する宿泊施設側の事務負担が増大するため、混乱を引き起こす恐れがあることを考慮し、観戦者やボランティア、観光客を含め、一律で課税を見送ることにしました。都主税局では、3カ月間の課税免除で約5億5千万円の減収になると予想しています。
<情報提供:エヌピー通信社>

国税庁HP新着情報

6月29日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成30年6月28日

≪税の情報・手続・用紙≫
●「地ビール等製造業の概況(平成28年度調査分)」及び「単式蒸留焼酎製造業の概況(平成28年度調査分)」の公表について

≪お知らせ≫
●酒類の地理的表示として「北海道」及び「灘五郷」を指定する件(案)」に対する意見募集の結果について(e-Govへリンク)
●ぶどう酒の地理的表示として「北海道」及び清酒の地理的表示として「灘五郷」を指定しました

 

(後編)国税庁:国際観光旅客税に関するQ&Aを公表!

(前編からのつづき)

 そのほか、楽器用の座席スペースを確保するため、1人で2席分の航空券を購入した場合であっても、出国する者は1人なので、1人分の国際観光旅客税しかからないと説明しております。
 国際観光旅客等の経理編では、法人の従業員が出張や旅行などで海外に出国する際に支払う同税を法人が負担した場合の課税関係について、従業員の出国が法人の業務の遂行上必要な場合であれば、旅費に該当して非課税とされます。

 一方、従業員の出国が法人の業務の遂行上必要なものではない場合には、従業員に対する給与として所得税の課税対象となることを明らかにしております。
 法人税法上の取扱いは、従業員の出国に伴い、法人が負担する国際観光旅客税に相当する額については、法人の業務遂行上、必要なものか否かによって、旅費交通費やその従業員に対する給与として取り扱われますが、いずれの場合であっても法人税の所得金額の計算上、損金の額に算入されるとしておりますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

前編)国税庁:国際観光旅客税に関するQ&Aを公表!

 国税庁は、国際観光旅客税に関するQ&Aを、ホームページ上に公表しました。
 国際観光旅客税とは、訪日外国人旅行客が出国する際や日本人が旅行や出張で出国する際などに、1人あたり出国1回につき1,000円を徴収するものです。

 Q&Aをみてみますと、一般編と特別徴収義務者となる国際旅客運送事業者編、国際観光旅客等による納付編及び経理編の4編44問が掲載されております。
 一般編の内容では、国際観光旅客税の適用は2019年1月7日以後の日本からの出国について課税されますが、同日以後の出国であっても、同日前に締結された運送契約による出国については課税されません。

 ただし、同日前に締結された運送契約による出国であっても、出国日を決めていない、いわゆるオープンチケットや回数券などで、2019年1月7日以後に出国日を定める場合などは国際観光旅客税が課税されると説明しております。
 例えば、クルーズ船により日本のA港から出国し、外国の港に帰港後、再び日本のB港に寄港してまた出国する場合は、出国が2回となることから合計2,000円が課税されます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。