年金受給開始70歳超えも選択肢に

◆年金受給開始を70歳超まで選択可能に? 
 内閣府の「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」は、公的年金の受給開始年齢を70歳以降まで繰り下げることを可能にする仕組みつくりを盛り込んだ案をまとめました。これをもとに年内に長期的な高齢者施策の「高齢社会対策大綱」の改正案を閣議にはかる予定です。
 現在は年金の受給開始年齢は原則65歳です。現行法では60歳から70歳の間で開始年齢について「繰り上げ」もしくは「繰り下げ」ができます。開始年齢を早めれば65歳から開始するのに比べて最大30%減額、遅くすれば1年ごとに0.7%ずつ増え、最大42%増える仕組みになっています。今回の提案では希望すれば70歳を過ぎてからの受給開始が可能になり、その分年金額が増える制度を導入しようと考えています。

◆年内に「高齢社会対策大綱」策定
 骨子案として「すべての高齢者の意欲・能力を活かして活躍できるエイジレス社会を目指す」とし「年齢区分で人々のライフステージを画一的にくくることを見直すことが必要」としています。「意欲ある高齢者が働き続けられ、また就業ができる仕組みを構築できることが基本」であり、併せて「高齢者の低所得を防止」する視点も望まれるとしています。60歳の定年後に再雇用される仕組みだけではなく、新たな職域としてそれまでの経験や知識を生かした仕事や社会活動、地域社会のコミュニティ作り、資産活用等も盛り込まれています。

◆高齢者の定義が変わる?
 日本老年学会などは今年の1月に現行法で65歳と定められている「高齢者」の定義を「75歳」以上に引き上げ65歳から74歳は、准高齢者として区分すべきと提言しました。同学会は10年前に比べると現在の65歳以上の人の知的・身体能力は5歳から10歳若返っていると判断したということです。准高齢者年齢とされた人々は近い将来働くことが通常な年齢となるかもしれません。少子高齢化で人口が減る中、政府は多くの高齢者に働き続けてもらいたいとのことでしょう。そうすれば年金の財源の安定にもつながるということかもしれません。

女性の就業率過去最高

 政府は平成29年版「男女共同参画白書」を閣議決定しました。これは男女共同参画基本法に基づき作成している年次報告書で、今年は女性活躍推進法施行後の現状と課題を挙げています。
 同白書によると平成28年の15歳から64歳の女性の就業率は66.0%で過去最高となりました。これは男女雇用機会均等法が施行された昭和61年(1986年)の53.1%から13ポイント上昇したことになります。

◆地域別の就業率は?
 都道府県別で見ると、平成27年時点の女性の就業率は福井県74.8%が最も高く、次いで富山県72.2%、島根県71.8%となっています。北陸地方が高い理由としては2世代、3世代が一緒に住んでいる家庭が多いため子育ての負担が軽減でき、出産後も仕事に復帰しやすい環境が整っていること等が挙げられています。
 また、就業率が低いのは奈良県58.5%、兵庫県60.6%、大阪府61.4%となっています。福井県と奈良県の差は16.3ポイントもあることから、地域によってばらつきがあることがわかります。

◆海外では北欧が高い
 また、海外諸国とでは日本の女性就業率はOECD(経済協力開発機構)35カ国中16番目(OECD平均58.6%)です。
 最も高い国はアイスランド81.8%。以下スイス、スェーデン、ノルウエーが続き、北欧は女性が働きやすい環境が整っている様子が伺えます。

◆2020年までに女性管理職を30%に
 日本の女性管理職の割合は全国平均13.4%です。高知県21.8%、青森県20.3%で20%を超えますが、滋賀県、石川県ともに8%と10%未満も6県あります。
 女性活躍推進法が施行されて1年以上たちましたが、政府は2020年までに女性管理職の割合を30%にするという目標を掲げています。数字だけ見るとなかなか難しい状況に見えますが、政府は女性活躍の目標設定や情報の見える化をさらに進めていくとしています。各企業がどう取り組むのかが問われるでしょう。

国税庁:ICTやAI活用した「税務行政の将来像」を公表

国税庁は、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)を活用した約10年後の「税務行政の将来像」を公表しました。

 これは、情報システムの高度化、外部機関の協力を前提として、現時点で考えられる税務行政の将来のイメージを示したものです。
 実現に向けて、e-Taxの使い勝手の改善等を通じた申告・納付のデジタル化の推進により、納税者の利便性の向上とともにデータ基盤の充実を図り、AI技術等を取り入れながら、段階的に取り組んでいくとしております。

 この背景には、ICTやAIの進展、マイナンバー制度の導入、マイナポータルの本格運用、個人投資家の海外投資や企業の海外取引増加など経済社会のグローバル化、厳しい財政需要による国税職員が減少傾向の一方で、所得税申告件数や法人数等の増加、国際的な租税回避への対応や富裕層に対する適正課税の確保、大口・悪質事案への対応のため、マンパワーの重点的投入の必要があるとみられており、ICTやAIの活用による納税者の利便性の向上と税務行政のスマート化を図ることが将来像にあります。
納税者の利便性の向上では、マイナポータルを通じて、納税者個々のニーズに合った「カスタマイズ型の税情報の配信」、メールやチャットなどによる相談・回答、AIを活用した相談内容の分析と最適な回答を自動表示する「税務相談の自動化」、確定申告や年末調整に係る情報のマイナポータルへの表示による手続きの電子化、国と地方への電子的提出のワンストップ化、電子納税等の推進など「申告・納付のデジタル化」を目指すとしております。

 また、課税・徴収の効率化・高度化では、「申告内容と財産所有情報との自動チェック」による申告漏れ等の迅速な把握、)是正が必要な誤り事項等を納税者に自動連絡するなど、納税者等に電子メール等により接触を図る「軽微な誤りのオフサイト処理」、AIを活用したシステムによる、精緻な調査必要度判定や納税者への最適な接触方法と要調査項目、優先着手滞納事案の選定等の提示など「調査・徴収でのAI活用」を進めるとしております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

商工会・商工会議所による中小企業支援

中小企業の経営環境が厳しさを増す中、中小企業支援機関への期待が高まっています。中小企業支援機関の中でも商工会・商工会議所は、古くから全国の市町村において、地元に根差した中小企業支援を行っており、中小企業にとっては、幅広い相談に応じてくれる存在として認識されています。

『中小企業白書2014年版』においては、商工会・商工会議所について聴取したアンケート調査の結果が示されており、まず、その強みについては、「地域に密着した『顔の見える』支援」、「幅広い相談に対応可能」、「小規模企業支援のノウハウを持っていること」などといった回答が多くなっています。  一方で、商工会・商工会議所の課題については、「財源の不足」、「指導人員の不足」、「経営指導員の能力の差異」、「専門的知識の不足」などといった回答が多くなっています。  こうした中、経営指導員の能力向上に向けて人材育成に取り組む事例もみられています。例えば、滋賀県商工会連合会では2009年度から県内22の商工会の職員に関する「人事制度改革」を本格的に実施し、経営指導員の能力向上に向けた取組みを推進しています。具体的には6段階の階級を整備してそれらに基づいた人事評価を行い、処遇や次年度に取り組む業務に反映させています。また、経営支援に必要な専門分野を8つ設定し、それらを年間に2分野ずつ、研修等による知識習得と現場での実践を組み合わせながらマスターしていく仕組みを構築しています。  このように商工会・商工会議所では、経営指導員の能力向上のための研修制度の充実や、財源や人員不足を補完するための他の専門的な支援機関との連携が求められているのです。

では商工会・商工会議所では具体的にどのような支援が行われているのでしょうか。ここでは千葉県の木更津商工会議所の経営指導員による薬局の事業展開支援の取組みについてみていきましょう。

 木更津市で「エンゼル薬局」を経営する薬剤師が仕事を通じて地域住民の健康増進に取り組む中、無農薬、無添加で育てる市観光ブルーベリー園のブルーベリーを活用することに着目し、特産品のブルーベリーを活用したゼリーである「きさポン・ブルーベリーゼリー」を開発しました。このゼリーは一般的な市販のゼリーに比べ、ビタミン、カルシウム、ナイアシンなどといった多くの栄養素を含んでいます。こうした栄養素の高さなどが評価され、このゼリーは市立小中学校11校の給食で月1回ずつ提供されるなどの販路開拓にこぎつけました。今後は学校給食用への販路を木更津市周辺に向けて拡大したり、高齢者用、一般用の商品を新たに開発して販路を広げたりする方針です。  こうしたゼリーの開発及び販路開拓には、木更津商工会議所の中小企業診断士資格を保有した経営指導員の支援が深く関わっています。商品化にあたっては、経営指導員のサポートによってちば農商工連携事業基金を活用することができました。また、千葉県の経営革新計画の承認を受けることで、公的支援の幅を広げることも可能となりました。  このように商工会・商工会議所では、事業者の事業計画策定を支援しつつ、地方自治体や他の支援機関の支援制度の活用につなげるなどして、中小企業の製品開発・販路開拓の支援を行うことで、地域の中小企業の支援において中核的な役割を果たすことが求められているのです。(了) (記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

江戸川区南小岩6-6-8
鈴木税務会計事務所

個人型確定拠出年金(個人型DC)の加入範囲拡大

概要

 個人型DCの加入範囲が拡大され、これまでの加入対象者に加えて、企業年金加入者・公務員等共済加入者・私学共済加入者・第3号被保険者(専業主婦等)についても、基本的に個人型DCへ加入することができるようになります。

個人型確定拠出年金とは

個人型確定拠出年金は、加入者本人が拠出した掛金を加入者が自ら運用を行い、その運用の結果に基づいて給付を受ける制度です。個人型確定拠出年金の特徴は下記のとおりです。

・毎月の掛金は加入者が拠出します。

・運用商品の選択は、加入者自らの判断のもとに行います。

・加入者自身の残高と運用状況は、いつでもご確認できます。

・将来の受取額は、運用実績により個人ごとに異なります。

・税制優遇措置があります。

・60歳以降に年金または一時金で受け取れます。

・職業がかわった時に年金資産を持っていくことができます。

適用時期

 平成29年1月1日施行

 

 

相続税の申告書への被相続人の個人番号の記載に係る取扱いの変更

概要

 社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の導入により、平成28年1月1日以降に相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含みます。)により取得する財産に係る相続税の申告書(以下「相続税申告書」といいます。)には、被相続人の個人番号を記載することとしていました。

 取り扱いが変更され、相続税申告書への被相続人の個人番号の記載を不要とすることとなりました。 

適用時期

平成28年10月以降に提出する相続税申告書については、被相続人の個人番号の記載を不要となります。