【時事解説】世界は海洋プラスチックごみの汚染を止められるか その1

海洋プラスチックごみ(以下海洋プラごみ)による汚染問題が関心を集めていいます。プラスチックの廃棄物には、レジ袋やペットボトル、マネキン、建設資材など、様々な種類があります。海洋プラごみとは、プラスチック廃棄物の中で、海に流れ込んだものを指します。

 本来ならば、プラごみは決められた手順に従い適切に処理されるはずですが、中には使い捨てにされ、河川などを通じて海洋に流出しているものがあります。世界中で、プラスチックの廃棄物は年間約3億トンと推定されますが、その中の900万トンが海に流れ込んでいるといわれています。

 海洋プラごみは海洋生物や地球環境へ深刻な影響を及ぼすと懸念されています。中でも問題なのはマイクロプラスチック化することです。海洋プラごみは海に出ると、波や紫外線などにより小さく砕かれ、直径5ミリメートル以下の微粒子になります。これが動物プランクトンのエサとなり、さらに小魚がプラクトンを食べることになります。結果、食物連鎖により、最終的に、有害物質が人間の内臓に蓄積される恐れが指摘されています。研究では、メダカの肝臓が働かなくなる、がんができるといった報告があります。

 海洋プラごみは数年前から研究者の間で関心が寄せられていました。一般の注目が集まるきっかけとなったのは、6月に開催されたG20大阪サミットです。サミットでは、2050年までに海洋プラごみをゼロにすると目標が定められました。背景には、世界における海洋プラごみの排出量は、5割弱をG20各国が占めていることから、今後、目標の達成に向け、各国は行動計画を作り、進捗状況を報告することが決められました。これは条約ではないので、拘束力はありませんが、世界がプラスチックによる海洋汚染を減らし、海をきれいにしようと動き出したといえます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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