【時事解説】広がる変動価格制、その狙いとは その2

2021年3月から東京ディズニーリゾートのチケットは変動価格制(ダイナミックプライシング)になります。近年、ダイナミックプライシングは遊園地の入園料だけでなく、野球やサッカー観戦と多くの業種で広がりを見せています。
 背景にはAI(人工知能)の発達があります。ダイナミックプライシングのポイントは、価格をいくらにするか、価格の高い期間と安い期間をいつにするかといった点にあります。

 従来から、衣類のバーゲンセールや食品スーパーの閉店前の値下げといった、売れ残りを回避するための値下げは行われてきました。ただ、10%引きにするか、あるいは20%引きにするかは店員の裁量で決められることが少なくありません。値引き率が大きいほうが売れる数は上がる傾向があります。が、価格が高いほうが商品一つあたりの利益率は大きくなります。価格や期間の設定は、もっとも利益が大きくなる点を探し当てることが大切です。

 AIは過去の販売状況や天候などのデータを大量に解析して何が売れ行きを左右するか、さらには休日、天候、気温、風速など、どれが販売数量に大きく影響を及ぼすかなどを計算します。人間が手計算で求めたら膨大な時間がかかる事項をAIは短時間で正解を導きます。AI技術の発展があったからこそ、ダイナミックプライシングが導入しやすくなったといえます。

 とはいえ、AIも完ぺきではありません。価格が高すぎると顧客の反感を買うため、担当者がAIの提示よりも安く価格を設定した事例もありました。まだ、改良の余地はありますが、今後もダイナミックプライシングはさらに広まりそうです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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