《コラム》AI革命と雇用

 昨年ころから実用化され始めたAI(人工知能)技術は、ブームとなっていきそうな勢いです。日増しに報道や出版物も増えていますが、AIが発達すると雇用との関係は今後どうなっていくのでしょうか。

◆労働者の半数が機械に仕事を奪われる?
 2016年に発行されたリクルートワークス研究所の機関誌「Works」No.137に「同僚は、人工知能」というAIと雇用についての記事が掲載され話題を呼びました。それによると日本では今後、労働人口の49%がAIやロボットにより代替される可能性が高いと言っています。労働者の半数が仕事を失うとなるとは驚きです。そのような未来が来るとすると企業では何が起こるのでしょうか。

◆仕事が減ったら配置転換で乗り越えてきた
 日本の労働の歴史では1980年代のME革命や1990年代のIT革命の際も業務が一新され、従前の雇用は大量に失われました。しかしMEやITに従事する新たな雇用が創出されたので日本型終身雇用に守られた労働者の再配置(社内配転等)がなされ、大量の失業者が発生する結果にはならなかったという事です。
 但しAI、ロボット技術との違いは、
①技術の発達速度の速さ
②雇用創出にはそれほどつながらない
等が言われており、懸念されています。

◆今後の時代に備えた雇用を考える
 労働法が現在の内容である限り企業はたとえAIによって自社の職務が削減されても社員の雇用を守るための努力は必要になるでしょう。それなしには整理解雇が有効になることはないかもしれません。
 もちろんAIが導入されても絶対雇用維持しなければならないと言う事にはならないでしょう。ここはAIと共存する為の知恵や工夫が必要となってくるのでしょう。
 前述の「Works」No.137でも生産性向上等、新しい働き方の提案がなされています。
 来るべき時代を意識しておく必要があると言う事でしょう。

年金受給開始、70歳超も可能に

政府はおよそ5年ぶりに改定する高齢社会対策大綱に向けて、公的年金の受給開始年齢を70歳より遅らせることもできる新たな制度案をまとめました。開始年齢を遅らせるほど受給時に受け取れる額が増える案を組み合わせて、70歳を超えて働き続ける高齢者を増やしたい狙いがあります。経営者は70歳を超えても現役で働くことも多く、制度が改正されれば経営者の働き方の選択肢が増えるかもしれません。

 現行制度では公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、60歳から70歳の間で任意に選ぶことができます。65歳より早く受け取り始めれば受給額が減り、遅く受け取れば受給開始後の年金は増えるシステムで、年金受給額は早ければ最大30%減り、遅ければ最大42%増えます。

 政府案では、現行制度をさらに拡大し、70歳を超えて受給年齢を75~80歳まで遅らせることができるようにするもの。現行制度では受給開始を65歳から1カ月遅らせるごとに0.7%上積みされますが、これを70歳以降はさらに加算されるよう検討します。

 実際に2015年度に国民年金だけを受給した人のうち、受給開始年齢を65歳より遅らせた人は1.4%にとどまっていることから、どれだけの人が70歳より受給開始年齢を遅らせるかは未知数です。受給開始を遅らせれば月ごとに受け取れる年金の額は増えますが、受け取れる期間は短くなることも意味します。長生きすればその分得をするものの、自身のリタイアプランやその後のセカンドライフも踏まえて慎重に検討したいところです。
<情報提供:エヌピー通信社>

財務省:2017年度予算執行調査結果を公表!

財務省は、2017年度予算執行調査結果を公表しました。
 予算執行調査とは、財務省主計局の予算担当職員や日常的に予算執行の現場に接する機会の多い財務局職員が、予算執行の実態を調査して改善点を指摘し、予算の見直しや執行の効率化等につなげていく取組みです。
 それによりますと、2016年度実績において国税当局で使用している業務用車の全国平均稼働率は57.8%となり、前回(2014年度)調査時の57.8%とほぼ変わっていないことが分かりました。

 国税局や税務署では、税務調査等実施の際の移動手段として、公共交通機関の利用のほか、業務用車を利用し、業務用車が一時的に不足する場合などはレンタカーの借上げ等により対応しております。
 財務省では、調査結果に基づき、各省庁に対し2018年度概算要求や今後の予算執行に確実に反映するよう要請しております。
 国税当局で使用している業務用車については、2014年度予算執行調査で実施しており、今回はそのフォローアップ調査として行いました。

調査対象は、全国12の国税局(所)及びその管轄税務署で、税務調査や徴収等に使用する業務用車の稼働率と業務用車が不足している場合に代替手段として使用しているレンタカーの利用状況で、前回の調査結果を踏まえ、これらが効率的に行われているかを検証しました。
 局別の平均稼働率の最大値は関東信越国税局の63.6%(前回同局63.7%)、最小値は大阪国税局の48.6%(同47.7%)と局間で差がみられました。

 一方、レンタカーの利用では、年間利用延べ台数の合計は2万3,370台(前回3万5,831台)となり、前回に比べて1万2,461台減少しました。
 前回調査では、レンタカーを年間延べ100台以上利用している局署が42あり、この42局署の年間利用延べ台数は3万2,192台で全体の約9割を占めておりました。
 今回の調査において、このうち33局署で業務用車の配備見直し等により、年間利用延べ台数は1万9,398台となり、レンタカー依存度が改善され、これが全体の利用減少につながったものとみられております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月5日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

顔認証システムで何が変わるか

 最新型のiPhoneに搭載され話題となった顔認証システム。顔認証とは、目、鼻、口などの特徴をとらえて、持ち主かどうかを識別する機能を指します。スマホに自身の顔をかざすだけでログインができる手軽さが魅力です。
 古くから顔で本人かどうかを識別する技術はありましたが、最新のシステムはAI(人工知能)を用い、精度が著しく進歩した点が特徴です。普段素顔の人が厚化粧する、女装をはじめとする変装をするなど、人間の目では判断を誤るようなケースでも正確に識別できるようになっています。
 顔認証の魅力は、立体的に顔をとらえ照合するため、指紋認証などと比べると偽造されにくい点が一つとしてあります。加えて、従来のようにパスワードを忘れるといった心配もありません。
 顔認証はスマホのログイン機能として広く知られていますが、実は、幅広い分野での応用が可能な技術です。テーマパークの入場チェックのほか、会社のパソコンにログインする、万引きからテロまでの犯罪防止、さらにはマーケティングなどにも利用されています。
 最近では、東京2020オリンピック・パラリンピックに備え、空港でのゲートの自動化に取り入れられることになりました。羽田空港ではすでに日本人の帰国手続で実用化されています。従来は、あらかじめ顔のデータを登録する必要がありましたが、現在は事前登録は不要になっています。パスポートを機械にかざすだけでよいので手続の時間短縮といったメリットがあります。顔認証システムは、使い勝手が優れていることから、今後もより多くの分野で活用されることが予想されます。

 近年、スマホのログインなどでは顔認証システムが用いられるようになりました。顔認証はカメラに顔をかざすだけ、といった手軽さから技術の応用範囲が拡大しています。なかでも、従来はセキュリティに関する分野が主流でしたが、マーケティングへの応用も期待されています。
 一例を挙げると、白目と黒目の割合から視線の方向を割り出し、顧客の視線を追うことが可能になりました。結果、小売店では、顧客がどの商品を目にしたかがわかります。これにより、顧客にとってより興味のある商品を前面に配置するなど、ディスプレイの改善に繋がります。
 また、駅などの複数の広告を掲げている場所では、どの広告に目を向けたかを把握することが可能です。収集したデータは、より効果の高い広告づくりの手助けとなります。
 現在、世界の中で、顔認証システムに携わっている企業は多くあります。中でも、識別に関して高い技術を有するのはNECです。米国政府機関主催のベンチマークテストでは連続で第1位を獲得しました。多くの企業が、NECの技術を用いて、顔認証を用いたシステムの構築を進めています。
 今後、顔認証システムは、数多くのビジネスチャンスにつながる分野だといえます。ただ、技術は著しい進歩を遂げてはいますが、精度の面では課題が残ります。たとえば、一卵性双生児の場合、見分けがつかないこともあります。また、店舗などでの利用では、だれがどの店に入り、何に興味を示したかが記録に残るので、プライバシー面での課題が残ります。経済産業省は顔認証で情報を取得している店については、その旨を張り紙などで顧客に知らせるといった、配慮事項をまとめています。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

地方大学の振興と若者雇用に向けて 

2017年12月8日に「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」の最終報告が公表されました。この報告書では、地方の特色ある創生のための地方大学の振興に関する方向性や、地方における若者雇用の創出に向けた提言が示されています。
 同報告書の内容に沿って地方大学の振興についてみていくと、地方大学は「総花主義」から脱却し、産学官が連携して地域産業の特性等を踏まえつつ各大学の強みのある学問領域・研究分野のさらなる強化に取り組み、特定分野においてはグローバルに競争力を持つ拠点を構築することが重要となります。
 また、地域の技術開発力やマーケティング力を高めるため、首都圏の大学や海外の大学等との連携により、ベンチャー企業の創出やイノベーションに向けた取組を支援する視点が重要となります。
 上記のような基本的認識の下、地方大学の振興に向けた具体的取組として、国の基本方針を踏まえつつ、首長のリーダーシップの下で産官学連携のコンソーシアムを構築し、地域の中核的な産業の振興(ものづくり産業、観光業、農林水産業等)やその専門人材育成などの振興計画を策定すること、そのうち地方創生の優れた事業として国が認定したものに対しては、新たな交付金により重点的に支援することが示されています。また、東京圏と地方の大学の学生が相互に対流・交流する取組の促進や、地方公共団体や企業と連携しながら、地域に貢献する大学を目指し改革を進める地方私立大学を支援するなど、学生の対流・交流の促進や地方私立大学の改革の推進に関する内容も提示されています。

 では、「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」の最終報告では、地方における若者雇用の創出についてどのような点が指摘されているのでしょうか。
 同報告書では以下の4点を具体的取組として提示しています。
 1点目は、「魅力のある良質な雇用機会の創出・確保」です。地域に新たなビジネスや雇用を創出するための官民一体となった起業・創業の支援、新たな事業展開を支える経験豊富なプロフェッショナル人材の活用促進などがあげられます。
 2点目は、「東京に本社を持つ大企業等に求められる取組」です。地方拠点強化税制における対象要件の引下げ等の更なる拡充によるインセンティブ強化、大企業の選考・採用に関しての実態の把握や好事例の周知等を通じた積極的な地方での採用活動促進などがあげられます。
 3点目は、「企業を知る機会の提供、早い段階からの職業意識形成」です。地方公共団体による地元の優良企業を選定し学生に紹介する取組の推進、中高生等の早い段階から職業意識形成を図り地元企業等の魅力の浸透に取り組むことなどがあげられます。
 4点目は、「学生等の地方還流促進」です。東京圏の学生等のUIJターンにより地方企業への就職を促進するための奨学金返還支援の全国展開、地方創生インターンシップに関する地方公共団体と首都圏の大学との緊密な連携体制の構築を促進するためのプラットフォームの形成などがあげられます。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

紙申告に10万円のペナルティー

2018年度の税制改正大綱には、事業者の電子申告にかかる見直しが盛り込まれています。

 一つ目は、資本金1億円超の大企業に限り、2020年から法人税や消費税などの電子申告を義務付けるというもの。大企業は独自の経理システムを導入していることが多く、中小に比べても電子化が進んでいません。完全義務化によって、一気に税務申告の電子化を推し進めたい狙いがあります。

 二つ目は、自営業者や個人事業主が税務申告の際に電子申告を使えば、青色申告者に認められる「青色申告特別控除」の控除枠を紙申告の人と比べて10万円上乗せするというもの。大企業への義務化と同じ20年から導入します。

 ただし、税制改正では、青色申告特別控除の控除額を現行の65万円から55万円に一律10万円引き下げることとしています。前述のように電子申告をした人に限っては10万円を上乗せできるわけですが、実態としては電子申告の人は従来通りの65万円を控除でき、紙申告の人は現行より10万円控除枠が縮小するということになります。電子申告者へのボーナスというよりは、紙での申告を続ける人に対する10万円のペナルティーの意味合いが強い見直しと言えます。
<情報提供:エヌピー通信社>

大阪市の固定資産税規定に違法認定

大阪市が独自に定める固定資産税の計算ルールを巡り、大阪地裁は計算方法の一部を違法と認定し、取りすぎていた税額を返還するよう命じる判決を下しました。同じルールに沿って税額を計算された建物は市内に無数にあるとみられ、今後同様の返還請求が多く起こされることも予想されます。

 大阪市を訴えていたのは、市内に賃貸マンションを所有する納税者2人。それぞれ1999年からの16年分、94年からの21年分の固定資産税額が過大徴収に当たるとして、返還を求めていました。

 固定資産税の税額を計算する基礎となる評価額は、原則として国が規定した「固定資産評価基準」が用いられます。しかし同税が地方税であることから、実際の運用には自治体ごとのローカルルールが用いられることも珍しくなく、大阪市も1979年から、建物の基礎工事で使われるくいの長さや太さに応じた独自の補正率を採用していました。

 裁判長は、大阪市の独自の計算ルールについて「合理的な根拠がない」として、計算方法の一部を地方税法に反すると認定。原告の求めに応じて過徴収した税額の全額返還を命じた上で、一部については国家賠償法の時効である20年を超えるとして訴えを退けました。

 自治体が定めた固定資産税の規定を巡っては、札幌市でも、同じマンション内にある住宅部分と事務所部分で異なる算定方法を用いたローカルルールが適正かどうかを争う裁判が起こされています。一審では納税者の主張が認められましたが、控訴審では逆転し、市の計算方法は適法との判断が示されています。

 固定資産税は自治体が税額を算定して納付書を送付する「賦課課税方式」を採用していますが、近年になって過徴収が全国で発覚したことから、自身に課された税額を改めて確認する納税者が増えています。長年にわたって運用されてきた自治体の独自ルールに疑問を提起する動きは今後も増えそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>

タワーマンションの固定資産税の計算方法を規定

 2017年度税制改正において、タワーマンションの固定資産税の計算方法が見直され、総務省令により、計算方法が規定されました。
 原則として、この計算方法は2018年1月1日時点で新たに課税対象となるタワーマンションから適用されます。
 ただし、改正法施行日前の2017年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含む既存のマンションには新たなルールは適用されませんので、該当されます方は、ご注意ください。

 税制改正大綱では、「高さが60メートル超の建築物(「超高層建築物」)のうち、複数の階に住戸が所在しているものについては、その居住用超高層建築物(いわゆるタワーマンション)全体に係る固定資産税額を各区分所有者に按分する際に用いるその各区分占有者の専有部分の床面積を、住戸の所在する階層の差異による床面積当たりの取引価格の変化の傾向を反映するための補正率(「階層別占有床面積補正率」)により補正する」としていました。

 その階層別占有床面積補正率は、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が一を増すごとに、これに、10を39で除した数を加えた数値とします。
 具体的には、中間の階の固定資産税額は現在のルールと同じにして、1階上がるごとに約0.26%ずつ税額が増えるようにし、中間階より1階下がるごとに約0.26%ずつ税額が下がるようにします。
 算式で示しますと、「各住戸の固定資産税=一棟全体の固定資産税額×<各住戸の専用床面積×階層別占有床面積補正率{100+(10/39)×(居住の用に供する専有部分が所在する階-1)}/占有床面性(補正後)の合計>」となります。

 また、専有部分において、天井の高さや附帯設備の程度、仕上げ部分(外壁や屋上防水等)が他の部屋より充実している場合などは、別途その差異に応じた補正を行うことになります。
 なお、高層マンションの区分所有者全員による申し出があった場合には、その申し出た割合により固定資産税額を按分することもできます。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年12月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

平成30年度税制改正 消費課税・納税環境整備編

 消費税と納税環境整備に関する主な改正項目を概観してみます。

●消費税について
 消費税に関しては、個別企業の課税実務に大きな影響を及ぼす改正はありませんでした。改正は補完的なものです。
①消費税における長期割賦販売等に該当する資産の譲渡等について延払基準により資産の譲渡等の対価の額を計算する選択制度は廃止されます。但し、経過措置が講じられています。
②簡易課税制度について、軽減税率が適用される食用の農林水産物を生産する事業者を第2種事業とし、そのみなし仕入率を80%(現行:70%)とする。
 適用は、平成31年10月1日を含む課税期間からです。
③輸入に係る消費税の脱税犯に係る罰金刑の上限について、脱税額の10倍が1,000万円を超える場合には、脱税額の10倍(現行:脱税額)に引き上げる。
適用は、法律の公布日から起算して10日を経過した日以後の違反行為からです。
④外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充です。具体的には、「一般物品」と「消耗品」の合計で下限額の要件(5,000円以上)等を満たす場合には、外国人旅行者向けの消費税の免税販売を認める。
 適用は、平成30年7月1日以後に行われる課税資産の譲渡等からです。

●納税環境整備について
 改正の中心は、申告手続の電子化促進のための環境整備です。
 大法人の法人税、地方法人税、消費税、法人住民税及び法人事業税の電子申告の義務化です。申告書は、確定申告書、中間申告書、修正申告書が対象で、消費税においては還付申告書も含みます。
 上記の大法人とは内国法人のうち事業年度開始日の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的会社をいいます。
 なお、消費税については、国及び地方公共団体も含みます。
 適用は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度からで、消費税に関しては、同日以後に開始する課税期間からです。
 なお、上記申告手続の電子化に伴って、法人税等の申告書における代表者及び経理責任者等の自署押印制度を廃止するなど幾つかの環境整備がなされています。

中小企業の賃上げ動向

 経済産業省より平成29年「企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査」の結果が発表されました。この調査は大企業と中小企業とを分けて調査され、大企業は2,001社中364社が回答、中小企業・小規模事業者30,000社のうち8,310社が回答しました。

◆中小企業7割近くが積極的に賃上げを実施
 平成29年度に常用労働者の賃上げを実施した大企業は89.7%(前年度90.1%)、正社員の賃金を引き上げた中小企業・小規模事業者は66.1%(前年度59.0%)となりました。前年と比較すると中小企業が積極的に賃上げを行っている傾向がうかがえます。

◆賃上げをする理由・しない理由
 中小企業・小規模事業者が賃上げを実施した理由についてベスト5は次の通りです。
①人材の採用・従業員の引き留めの必要性(49.2%)
②業績の回復・向上(34.3%)
③他社の賃金動向(21.6%)
④最低賃金引き上げの為(11.4%)
⑤業績連動型賃金制度のルールに従った(9.1%)
 一方で賃金を引き上げていない理由としては「業績回復、向上が不十分」72.6%が最も多く、賃上げを実施していない企業は業績が低迷している事がうかがえます。
 賃上げ額は、正社員1人当たり平均賃金の引き上げを実施した企業での年額をみると100,000円以上が最も多く、従業員規模が小さい企業ほど引き上げ額は大きくなる傾向にあります。引き上げ率は1%~2%が最も多く、こちらも従業員規模が小さいほど引き上げ率が高くなっています。

◆月別賃金引き上げ方法等
 引き上げの方法は定期昇給時に上げた企業が約半数と最も多く、賃金表を含む賃金規定を採っている企業は61.0%でした。
 人員計画については人手不足を感じている企業は66.4%であり、正社員の非管理職74.5%、管理職29.1%が不足していると答えています。
 採用方法はハローワークが最も多く78.7%です。次いで従業員や知人の紹介、36.9%、求人サイト32.9%と続いています。