【時事解説】コロナ禍による株主総会の変化 その2

コロナ禍の影響で新たな開催スタイルを模索しなければならないイベントが多数あります。株主総会もその一つです。感染拡大防止の観点から、従来のように多数の人が一堂に会する開催方法はとりづらくなりました。

 そこで、注目を集めたのがオンライン株主総会です。6月総会(2020年3月期決算の企業)の中には、株主総会の様子をライブ配信した企業がありました。本人確認は、株主総会招集通知書にIDとパスワードを記載し、株主はログインして配信映像を見ることができるようにしたのです。

 オンライン総会の中で実施が難しいのは、議案に対する決議(議決権行使)です。不正や誤りがなく、正しく集計するために、企業は透明性の高い投票システムを用意しなければなりません。あるIT企業では、ブロックチェーン技術を用いて、議決権行使を行いました。ブロックチェーンは、仮想通貨などに用いられる技術として知られていますが、最近では金融業界に限らず幅広い領域で適用されています。

 ブロックチェーンを用いる議決はどのようなものなのでしょうか。まず、企業は株主に対して、デジタルトークン(議決権)を発行します。発行と同時に、個々のデジタルトークンに関する情報をブロックチェーンに書き込むので、集計時、株主総会主催者でも票数の改ざんは不可能になります。こうした最新技術により、困難な議決を可能にしました。

 日本ではオンライン株主総会を開く企業はわずかですが、米国ではコロナ対応の為、多くの企業がオンライン株主総会に切り替えました。米国では日本と異なり、株主総会はオンラインのみの開催でもよいことになっています。今後、日本でもオンライン総会が簡単に開催できるようにするには、法整備を含めた環境整備が必要になります。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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