《コラム》「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定

◆副業・兼業ガイドラインの改定
 厚生労働省は、令和2年9月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下、「副業ガイドライン」)を改定しました。
 我が国の労働および社会保険諸法令では、特に正社員が複数企業で雇用されることは前提とされていませんでした。
 一方、労働力人口の減少や副業・兼業のニーズが高まったことで、複数企業での雇用に配慮した制度が求められていました。
 厚生労働省は、平成30年1月に「モデル就業規則」を改定し、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」と副業・兼業を認める内容に変更していましたが、当時策定された「副業ガイドライン」で不明確だった論点が、今回整理されたことになります。

◆副業・兼業における問題点
 副業・兼業による複数企業での雇用によって、以下のような問題が生じます。
・複数事業所間での労働時間管理
・時間外労働に対する割増賃金の負担
・労働保険・社会保険の適用
 使用者は、労働者の申告により、副業・兼業先の事業内容や従事する業務、労働時間の通算対象を確認した上で、新たに策定された「管理モデル」を基に、労働時間の管理や割増賃金を負担することになります。
 労災保険は複数適用で、雇用保険は複数適用が原則認められませんが、令和4年1月以降、65歳以上で合算して条件を満たす場合は適用が認められるようになります。
 社会保険は事業所毎に判断するため、複数の事業所で適用される場合はいずれかの事業所の保険者を選択して、適用されます。

◆副業・兼業で労使に生じる義務
 「副業ガイドライン」の改定で、使用者は安全配慮義務、労働者は秘密保持義務、競業避止義務、誠実義務を負うことが明確にされました。
 労働者には、秘密保持や競業避止など従来と同様の義務が課されますので、使用者はこれらの義務が履行されない懸念がある場合には、副業・兼業を禁止または制限しても構いません。

《コラム》カレンダー上の祝・休日と会社の休日は同じではないの?

◆正月休みはカレンダー上の休日ではない?
 関与先で働く外国人から「周囲の人たちの話を聞くと1/2-3は休業日らしいが、カレンダーではそんな記載はされていない。何を参照すれば休日がわかりますか?」という質問がありました。当たり前と思っていた正月休みも確かにカレンダー上は祝日ではありません。どんな背景でしょうか?

◆国民の祝日と行政機関・銀行の休日
 国民の休日は「国民の祝日に関する法律」で定められていますが、1/2-3は祝日ではありません。一方、「行政機関の休日に関する法律」では12/29-1/3が行政機関の休日とされています。一般的には、銀行の休日(年末は12/31-1/3)に合わせて年末休みの開始日が変わってくるものと思われます。
 行政機関や銀行が休みだし、年末年始休暇が慣習的にあるので、1/2-3の正月休みが定着しているものと考えられます。

◆労働基準法で規定の労働時間、休憩、休日
 労働者の労働時間や休日は労働基準法で定められています。
(1) 労働時間、休憩
 労働時間は、原則として休憩時間を除き、1週間について40時間・1日8時間(法定労働時間)を超えてはいけません。労働時間が6時間超の場合は45分以上、8時間超の場合は1時間以上の休憩を労働時間の途中に与えなければなりません。
(2)休日 
 労働基準法では、休日に関し、「使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」(法定休日)と規定されているだけで、いつを休みとするかは規定されていません。
 ただし、一般的な労働時間制限では1週間に1度の休日では、週の労働時間が40時間を超えてしまうため、休日をもう1日設けなければいけないことになります。もう1日は会社が自由に決められる所定休日(法定外休日)となります。会社の創立記念日や国民の祝日を休日と定めた場合も、それらは所定休日となります。
 休日とは、日曜日や祝祭日である必要はなく、事業主と労働者の合意により任意に決定することができます。業種や労働環境で一律には決められません。
 以上の背景から、「一般的に、週休2日で土日を休みとし、年末年始・お盆休暇を設けている。よって、日本では1/2-3を休業日としている会社が多い」というのが冒頭の質問に対する回答と言えます。

《コラム》 解明待ちの「土地の上に存する権利」

◆小規模宅地特例と配偶者敷地利用権
 相続税に於ける小規模宅地特例は、「土地又は土地の上に存する権利」について適用されるとしているので、配偶者居住権に基づく敷地利用権が「土地の上に存する権利」に該当しなかったら、小規模居住用宅地特例の対象にはなりません。

◆昨年、令和元年度政令改正
 昨年は、租税特別措置法では配偶者居住権について特別な改正をしていません。それにも拘わらず、配偶者居住権に基づく敷地利用権は小規模居住用宅地に当然に該当すると考えられたらしく、その計算規定が政令に、新規挿入されています。
 法改正なしでの政令規定新設の理由が財務省「税制改正の解説」で確認できます。すなわち、配偶者居住権は、借家権類似の建物についての権利であるが、配偶者居住権に付随するその目的となっている建物の敷地を利用する権利(敷地利用権)については、当然に「土地の上に存する権利」に該当すると理解されるから、ということのようでした。

◆今年の、令和2年度税制改正の解説
 ところが、同じ、財務省「税制改正の解説」の今年度版(9月11日公開)には、対価を伴う配偶者居住権の消滅には譲渡と同じ効果がある、所得としては総合課税の譲渡所得と考えられる、配偶者敷地利用権は「土地の上に存する権利」には該当しない、と書かれています。
 配偶者敷地利用権は、土地に関係する権利ではあるが、鉱業権・温泉利用権・借家権の仲間であり、「土地の上に存する権利」と言われる借地権の仲間ではない、ということです。
 昨年と今年で明らかに相違しており、この相違に問題が無い、との解説は今のところ出ていません。

◆土地の上に存する権利と相続税・所得税
 昨年の「税制改正の解説」での配偶者敷地利用権は相続税の改正の項目に関するものでした。今年の「税制改正の解説」での配偶者敷地利用権は所得税の改正の項目に関するものでした。
 相続税では、配偶者敷地利用権は土地の上に存する権利に該当するとされ、所得税では扱いが異なり、土地の上に存する権利には該当しない、とされたことについて、誰しもが疑問としているところなので、解明が待たれるところです。

《コラム》台風で休んでも給与は発生する?災害時の労務管理

◆突然の災害! その時社員は…
 日本は、災害列島と表現されることもあるほど、自然災害の多い国です。
 日本各地で発生する地震や台風、豪雨、津波、噴火などの厳しい自然災害は、私たちに突如として襲いかかり、日常生活を大きく変えてしまいます。
 災害に備え、いざという時に慌てないためにも、日頃から避難経路の確認や防災用品の備蓄を心掛けたいですね。
 ところで、もし職場にいる時や出勤前に災害が起こったら、労務管理上はどのような対応になるのでしょう。
 交通網が麻痺していない限りは出勤するべきなのでしょうか。また、危険を回避するために自己判断で休んだ場合、給与の取扱いはどのようになるでしょう。

◆労働者都合か、使用者都合か
 まず、労働基準法第26条に、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中該当労働者に、その平均賃金の100 分の60 以上の手当を支払わなければならない」とあります。
 しかし、天災は「使用者の責に帰すべき事由」には当たりません。例えば、台風により公共交通機関が停止して、職場に通勤不可能であった場合も、通勤は可能であったが労働者側が危険回避等のため自己判断で休んだ場合も、使用者都合とは言えず、ノーワーク・ノーペイの原則に則り、従業員が勤務しなかった部分については、給与を支払う必要はありません。
 ただし、労働者判断ではなく、労働者への配慮として会社側の判断で自宅待機、早退等とした場合は、前述の「使用者の責めに帰すべき事由」となるので、休業手当を支払う必要があります。

◆特別休暇の整備など柔軟な対応を
 天災は誰の責任でもありません。法律上は休業補償が必要ではない状況ではあっても、会社側は、可能であれば有給休暇や特別休暇として積極的に休暇取得を促した上で通常勤務分の賃金を支払う等、なるべく社員の気持ちに寄り添った対応をしたいものです。
 地震や大雨による事業所の被災でやむなく休業し、その際に休業に関する手当を支払った場合は、雇用調整助成金の対象となる場合がありますので併せて確認してみましょう。

 

【時事解説】役員報酬における『縦の公平性』と『横の公平性』 その2

役員報酬の決定には、ある種の公平感が必要となりますが、その公平感には二種類あります。一つは、株価や業績を評価基準にして他の同業他社の経営者との比較を行う、いわば「横の公平性」であり、もう一つが、同じ会社の一般社員との比較による「縦の公平性」です。

 これまで、日本では「縦の公平性」を重視してきましたが、経営報酬の透明化はもっぱら「横の公平性」を基軸としたものとならざるをえません。一方、経済成長の鈍化で、全体のパイは変わりませんから、「横の公平性」を重視すればするほど、「縦の公平性」は失われていきます。その結果、経営層と従業員との給与格差は拡大していくでしょう。

 一般社員の給与と関係なく、経営者報酬だけが右肩上がりになるのは社会にとって決して望ましいことだとは思いません。高所得者には使い切れない資金が残る一方、低所得者の窮乏化は進み、社会の分断は加速し、トータルとしての消費にはマイナスに作用します。また、経営者報酬の株価連動化がより鮮明になれば、経営者は短期的な株価の上昇ばかりを気にかけ、長期的な会社の成長がおろそかになることも懸念されます。

 そんな懸念をよそにグローバル化の名のもと、「縦の公平性」を犠牲にした「横の公平性」が一層幅をきかす時代になりそうです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】役員報酬における『縦の公平性』と『横の公平性』 その1

上場企業の役員報酬の決定方法の透明化が求められています。そこで、役員報酬における「公平性」の問題について、考えてみます。

 会社の経営者には二つの顔があります。一つは株主から委託を受けて、株主の利益を実現するために会社を経営する株主の代理人としての立場であり、もう一つは社員の延長線上に存在する社員のあがり(最終形)としての立場です。

 アメリカなど海外の大企業の経営者は社外の経営専門家の中から選ばれることが多い。彼らは株主から経営を任せられているのだからということで、株主利益最大化を目的に経営します。

 専門経営者にとっては株主価値が第一であり、株主価値を最も端的に表現するのは株価ですから、株価にほぼ連動する形で報酬が決められることに違和感はありません。だから、社員の給与水準とまったく懸け離れた高額報酬でも平然と受け取ることができます。また、社員に余剰があれば、雇用削減に躊躇しません。その際、社員をリストラして株価が上昇すれば、経営者は自分の収入を増やすことができると考えます。逆にいえば、そういう人だからこそ、ドラスティックなリストラ策を実行できるともいえるのですが。

 一方、日本では、徐々に専門経営者が増えてきたとはいえ、内部社員から経営者が選ばれるのが普通です。彼らは一般社員の代表として、株主利益より社員の待遇の方が気になるのは自然の成り行きです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》住宅ローン完済による抵当権抹消

◆住宅ローン完済
 ご自宅である不動産を購入するとき、だいたいの方は金融機関でローンを組んで購入するのが一般的です。
 金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、抵当権設定契約も併せて締結します。
 金銭消費貸借とは、お金を貸してくれる人とお金を返す約束をしてお金を借りることです。
 抵当権設定契約とは、お金を借りた際に購入した不動産を担保に出すことです。ローンの返済が滞ったり、ローンが支払えなかったり、契約違反をしたりすると、抵当権が実行され競売手続きに移行して差押えされ、最終的には競売で競り落とした人が払った代金でローンを払うことになります。金融機関は法律の手続きを利用し強制的に貸したお金を回収することになります。
 このようなトラブルがなく、長年にわたりローンを支払い完済になった場合には、その抵当権を抹消する手続きを自分でしなければなりません。なぜかというと借入時の「抵当権設定契約証書」には「登記にかかる費用は全て債務者と所有者が負担する」とあるからです。

◆抵当権抹消の必要書類
 ローンを完済すると、金融機関から抵当権の抹消に必要な書類が、郵送なり手渡しなりで手元に届くことになります。
 その書類の中身は、抵当権の抹消に必要な書類は渡したから後は自分でやるか司法書士に頼んでやってねという感じです。
 具体的に渡される書類は、①抵当権解除証書(登記原因証明情報)、②登記識別情報(登記済証)、③委任状、④その他、原契約書等ローンを組んだ時の書類を渡されるのが一般的です。その中で①~③は登記にて使用し、申請書を作成して登記申請します。

◆抵当権抹消登記の必要性
 ローンを完済したからとそのまま放置しておくと、いろいろなデメリットが出てきます。いざ抵当権抹消登記をしようとしたときに、上記金融機関から渡された書類が紛失している等が考えられます。また、ローンを完済しているのに抵当権を抹消していないとその不動産を売却することができません。ローンを完済しているのに抵当権だけついているのも気持ちのいいものではありません。ローンを完済したら速やかに抵当権の抹消をすることをお勧めします。

 

《コラム》令和2年分から適用開始 所得金額調整控除に注意

令和2年分から適用される所得税の改正項目は多岐にわたり、基礎控除・寡婦控除・給与所得控除・公的年金等控除・青色申告特別控除の改正や、ひとり親控除・所得金額調整控除の創設などがあります。このうち所得金額調整控除は、新たに創設された制度で適用が想定されるケースも多そうです。今年の年末調整で戸惑わないよう注意しましょう。

◆所得金額調整控除
 所得金額調整控除には、以下の二種類の控除があります。
(1)子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除
【適用対象者】 その年の給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者で、かつ、①本人が特別障害者に該当する者、②年齢23歳未満の扶養親族を有する者、又は③特別障害者である同一生計配偶者・扶養親族を有する者
【所得金額調整控除額】 {給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%
(2)給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除
【適用対象者】 給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある給与所得者で、その控除後の合計額が10万円を超える者
【所得金額調整控除額】 {給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円

◆注意点
 年末調整で適用できるのは(1)の制度ですが、この制度については以下の注意が必要です。
①「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出とは別に「所得金額調整控除申告書」の提出が必要となります。
②共働きの場合、扶養親族が一人であっても要件を満たせば、夫婦の双方で適用することも可能となります。
 共働き世帯で扶養控除の適用を受ける場合は、いずれか一の者の扶養親族にのみ該当するものとみなされますが、この制度ではそのような取り扱いはありません。

《コラム》上場会社の監査だけではない!大会社の監査と会計監査人

◆代表取締役を誰が監督するのでしょうか
 「監査」には、金融商品取引法に基づく有価証券に対する監査(上場会社)とは別に、会社法に基づく会計監査人の監査(大会社)があります。ご存じでない方も多いので、少し説明したいと思います。
 大会社とは資本金が5億円以上又は負債総額が200億円以上の会社です。代表取締役は株主から会社経営についての大きな権限を委託されており、大会社ともなると会社の規模が大きいため、代表取締役の行動は特に大きな影響を与えます。
 株主の代理として代表取締役や執行権限を持つ取締役を監督する役割は、取締役会や監査役会が担っております。
 更に会計業務については会計監査人を置かなければなりません。また、近年ではこれらに加えて社外取締役や社外監査役の制度も制定されました。

◆監査役の監査業務とは
 監査役の監査は、代表取締役や取締役がその職務を全うしているか等の業務全般を見る業務監査と、会計業務について適法に処理されているか、間違いや不正がないかを調査する会計監査に分けられます。
 しかし、大会社の会計業務は海外取引や関連会社との取引等量も質も複雑で膨大になるため、会計の専門家に依頼しないと監査役では手に負えません。そこで会計監査人による監査が必要になります。

◆会計監査人による監査
 会計監査人は公認会計士かその集まりである監査法人が選任されます。当然1人で行うのではなく、規模にもよりますが、数人から数十人の規模になる場合もあります。
 会計監査人には計算書類とその附属明細書の調査を行い、取締役に報告を求め、帳簿を閲覧する等の権限が与えられています。
 最終的には会計監査人は監査役に会計監査報告書を提出し、計算書類と附属明細書の適法性について意見を表明します。

◆会計監査人は賠償責任を負うことも
 後で事実と異なる意見を表明したとなった場合には、会計監査人が会社や第三者に対して、賠償責任を負うこともあります。
 そのため、会計監査人は、会社から報酬を貰ってはいますが会社に不利な意見を表明する場合もあります。

 

《コラム》判子レス社会は来るのか? 電子決裁はどこまで可能

◆生活の中の印鑑文化
 私たち日本人の生活に、「印鑑」文化は深く根付いています。
 日常生活では、銀行の登録印や申込書への押印、履歴書、役所への届出では婚姻届から転入・転出届、出生届等、ビジネス文書においては、見積書や、納品書、契約書、請求書、議事録、回覧板まで、とにかく多岐にわたる書類に押印が求められ、それが当たり前のこととして定着してきました。

◆コロナ禍で電子決裁の有用性見直し
 しかし、今年はコロナ禍で在宅勤務を取り入れる企業が増えたことで、「押印のために出社する」という問題が発生し、今までその必要性が議論されることが少なかった日本の印鑑主義について考え直すきっかけとなりました。
 政府関係では、4月の緊急事態宣言の最中、当時の河野防衛大臣が記者団に対し、防衛省内の決裁を全て電子化する旨の発言をしていますし、これを機に電子決裁の有用性について見直す企業も増えています。

◆法律上の電子署名
 決裁の電子化が進み、業務効率化に繋がるのなら喜ばしいことですが、一方でこれまで、「押印」によって本人の意思に基づいた文書であることの法的証明がなされていたことも事実です。電子決裁に変わることで法的効力に影響はあるのでしょうか。
 実は、ビジネスにおいて身近な見積書や請求書、領収書、納品書などのほとんどの文書にはそもそも印鑑は不要です。便宜上本人確認の押印をするなら、簡易なデジタル印鑑や認印と同じ位置づけの「電子サイン」を使用する方法で充分でしょう。
 e-Tax(国税の電子申告)や不動産取引など、より高い法的証明力が求められる文書は、第三者機関の認証局から発行された「電子証明書」が組み込まれることにより、利用者の「本人性」が確認できるようになっている「電子署名」が利用されます。
 平成13年4月施行の「電子署名法」で、電子署名が手書きの署名や押印と同等に通用する法的基盤が整備されています。

◆法律上押印が必要な文書もある
 ほとんどの文書に、印鑑と同じ効力がある電子サインや電子署名を使用できるものの、宅地建物取引業法上の不動産会社作成の書面や、銀行印、役所や法務局に届出する実印、不動産の登記申請(実印)など法的に印鑑が必要なケースもあります。