北海道倶知安町が宿泊税導入

 北海道倶知安町は「宿泊税」の導入について総務省の同意を受け、今年11月を目途に徴収を開始することを決めました。スキーリゾートとして有名なニセコ観光圏内にある同町は、今年3月に公表された「公示地価」の地価上昇率が全国で最も高かった地域で、地価上昇によって固定資産税や取得税の増加による収入増が見込まれていますが、さらに新たな財源が生まれることになります。

 全国に先駆けて宿泊税を導入した東京都では、宿泊料金が一泊1万円以上1万5千円未満なら税額100円、1万5千円以上なら200円で、1万円未満であれば課税されません。他の自治体も東京同様に、宿泊料金に応じて定額を徴収する制度。しかし倶知安町は宿泊料金の2%を宿泊税として徴収します。定率制の課税方式は全国で初めて。税収の見込み額は初年度2億7300万円、通年3億8千万円。環境保全や観光振興策、交通網整備に充てるとのことです。なお、修学旅行生など学校行事で宿泊する人からは徴収しません。

 宿泊税は東京都が2002年に全国で先駆けて導入した制度で、宿泊料金に上乗せするかたちで宿泊施設が徴収した後に自治体に納めます。当初はホテル業界などから「客離れにつながる」と反発する声が挙がっていましたが、訪日観光客の増加とともに税収が伸び、また近年のインバウンド需要の増加によって観光産業の振興や都市インフラ整備の需要も高まっていることから、全国でも続々と宿泊税が導入されてきました。

<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)金の密輸入に対し消費税の仕入税額控除制度を見直し!

(前編からのつづき)

 消費税率が8%に引き上げられた2014年から、摘発件数、押収量ともに急増しており、輸入時には税関で消費税が課税されますが、密輸して消費税を免れて、国内で売りますと消費税分が儲けとなるため、消費税率が高くなればなるほど密輸による儲けも大きくなることが増加の背景にあるとみられております。

 2018年度税制改正において、消費税法を改正し、輸入に係る消費税の脱税に係る罰金額の上限を脱税額の10倍が1,000万円を超える場合には、脱税額の10倍に引き上げたものの、金の密輸入はいまだ高水準にあります。
 密輸の仕出地別にみてみますと、2018年は「香港」が332件、「韓国」が319件、「中国」が224件の順に摘発件数が多い結果となりました。
 大規模空港のみならず、地方の海港・空港(清水港、宮崎空港等)でも摘発があり、摘発が全国にまたがっていることから、金密輸入に対しては、全国の税関で取締りを強化し、厳正に対処しております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年4月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)金の密輸入に対し消費税の仕入税額控除制度を見直し!

2019年10月には消費税率10%への引上げが予定されており、金の密輸入のさらなる増加が想定されることから、2019年度税制改正において、消費税における仕入税額控除制度の見直しを行います。
 具体的には、
①密輸品と知りながら行った課税仕入れについて、仕入税額控除制度の適用を認めない(2019年4月以後適用)こと
②金又は白金の地金の課税仕入れについて、本人確認書類の写しの保存を仕入税額控除の要件に加える(2019年10月以後適用)としました。

 財務省の2018年の全国の税関における金地金密輸入事犯の摘発状況によりますと、2018年に全国の税関が摘発した金地金(金塊に加えて一部加工された金製品も含む)密輸入事犯の件数は1,088件(前年比約20%減)、押収量は2,119キログラム(同約65%減)でした。
 前年比では摘発件数、押収量ともに減少しておりますが、近年の金の密輸入の増加は著しいものがあり、2019年度税制改正において、その対応策を盛り込みました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年4月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》人材が定着する会社とは

◆退職者の埋め合わせの時間やコストも増大 
 近年、転職者が年間300万人を超え増加傾向が続いています。一方で少子化が進み企業は恒常的な採用難、人手不足という現状があります。2019年2月の転職市場は求人数が4か月ぶりに最高値を更新しました。新卒者も転職者も非正規社員も採用できない人手不足倒産も出ています。そこで、採用が困難なら今いる社員に長く働き続けてもらうことを考えてみましょう。

◆優秀、貴重な若手に辞めてほしくないが
 苦労して採用して仕事を覚えて有能な人材に育った人に退職されるほど「痛い」ことはありません。有能な社員が企業に長くとどまり能力を発揮すること、定着をどのようにするのかを考える必要があります。ある調査では期待していた社員に辞められたことがある管理職は8割に上ると言っています。慰留できなかったケースも7割以上です。退職理由が現在の組織に対する不満が主な原因の場合、会社側は職場の状況にも気を配る必要があります。退職者はなかなか本音を話してくれません。悪い感情が残留者に伝染しないようにしなくてはなりません。会社に対する良くない噂が最近はSNS等で流布されるケースもあり、それが採用難の原因にならないとも限りません。新しい職場を探している人にとって「社員が長く勤めている」ことは安心材料になります。苦労して採用した若手社員、組織の中核として活躍する中堅社員、長年の経験を持つベテラン社員、そのような社員を定着させ、長く活躍してもらうことは人手不足の今、企業にとって重要課題です。

◆同業他社より社員定着率向上を目指す
 人材定着率は業種により違いますので同業種内での差を考える必要があります。引きとめたい社員とは業績のよい社員ばかりでなく、コミュニケーション力やモチベーションの高い人材と言うことができます。
 20代転職者の調査では退職理由は労働時間や働く環境、経営者、上司、同僚との人間関係、会社の成長が見込めない、の順になっています。「他にやりたいことがある」の言葉の裏側にこれらが複合的に含まれていると言えます。長く働き続けるには、労働条件等の「働きやすさ」と仕事の内容的側面としての「働きがい」の向上で、仕事を通じた成長感や達成感も重要と言えるでしょう。

《コラム》消費税改正に向けたすまい給付金のおさらい

◆すまい給付金とは?
 増税後の税率が適用される住宅ローン控除対象の住宅取得について、増税負担を軽減してくれる現金給付が受けられる制度がすまい給付金です。8%への増税があった2014年4月からスタートし、10%への増税もあることから、2017年12月までだった実施期間は2021年12月までに期間が延びています。
 また、2019年10月1日から消費税率が10%になるのにあわせて、すまい給付金の内容も拡充がなされたので、この機会におさらいしてみましょう。

◆給付額は都道府県民税所得割額が基準
 消費税率8%時は都道府県民税の所得割額により、
6.89(3.445)万円以下  30万円給付
8.39(4.195)万円以下  20万円給付
9.38(4.690)万円以下  10万円給付
となり、消費税率10%時には、
7.60(3.800)万円以下  50万円給付
9.79(4.895)万円以下  40万円給付
11.90(5.950)万円以下 30万円給付
14.06(7.030)万円以下 20万円給付
17.26(8.630)万円以下 10万円給付
(カッコ内は政令指定都市の場合)
となります。また、神奈川県の場合は税率が異なるため、表記より少しだけ基準となる額が高くなります。
 なお、ふるさと納税等で所得割額を減らしていると、すまい給付金サイトに記載されている「収入額の目安」である8%時510万円以下、10%時775万円以下を超えていても、給付が受けられる可能性もあります。都道府県民税の額面をしっかりチェックしてみましょう。

◆住宅の消費税率の決定タイミングは?
 基本的なことですが、本来消費税の額は引渡し時の税率により決定します。ただ、住宅は契約から引渡しまで長期間を要するため、引渡し時期による消費税率の変動を考慮し経過措置が設けられています。
 住宅の工事請負契約を税率引上げの半年前(今回の増税タイミングで言えば2019年4月1日)までに結んでいれば、引渡しが10月1日以降であっても、住宅にかかる消費税率は8%となります。契約が4月1日以後であっても、引渡しが10月1日前であれば当然、税率は8%です。

 

【時事解説】株式市場再編の影響とは その2

東京証券取引所は4つに分かれている株式市場を3つに再編しようと検討しています。そもそも、いま、なぜ再編が必要なのでしょうか。実は、個人投資家の間には、一部上場の問題点を端的に表す言葉として、「上場ゴール」というものがあります。これは、企業が「東証1部上場」をゴール(最終目的)にしている旨を指します。近年、上場というゴールを決めたあと、業績や株価が下がる企業が目に付くようになりました。

 また、東証1部は大企業中心の市場であるはずなのに、時価総額の小さな(小ぶりの)企業も上場している点も指摘されるようになりました。
 問題の背景には、東証1部の上場基準が緩いことがあります。とくに、マザーズ(新興市場)から1部に上がる基準が緩く、通常、時価総額は250億円ほど必要ですが、マザーズからの上場ならば最低40億円でよいと優遇されています。
 世界の中で、日本の株式市場の信頼感をしっかりとしたものにしなければ、投資家は離れてしまうことも考えられます。そこで、東証1部に上場する企業の質を高める必要性が浮上しました。質を高めるための施策の一つとして、上場基準の厳格化が必要になったわけです。

 ただ、再編に関し、もう一つの懸念は日経平均株価への影響です。再編後、日経平均採用銘柄を入れ替える必要性が生じます。2000年、日経平均株価の暴落がありましたが、暴落した要因の一つに、大幅な日経平均採用銘柄の入れ替えがありました。今回も、銘柄が大きく入れ替わるとなると、株価の暴落につながりかねません。基準の変化や銘柄の入れ替えがどの程度の規模になるか、決定の内容から目が離せません。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

【時事解説】株式市場再編の影響とは その1

先日、東京証券取引所は株式市場の再編を検討していると発表しました。現在、株式市場は東証1部(大企業中心の市場)、2部(中堅企業)、JASDAQ(新興企業、中堅もあり)、マザーズ(新興企業)の4つがあります。これを次の(1)~(3)のような区分で再編しようとしています。
(1) A市場…投資家の投資対象としてふさわしい実績のある企業(中堅企業中心の市場)
(2) B市場…高い成長の可能性を有する企業(現在のマザーズなどの新興市場に相当)
(3) C市場…国際的に投資を行う機関投資家をはじめ、広範な投資家の投資対象となる要件を備えた企業(現在の東証1部に相当)
これら3つに絞る案が有力です(各市場の正式名称は今後決定)。

 再編で関心を集めるのはどのような市場が生まれるかだけではありません。もう一つのポイントは東証1部の上場基準が厳格化されることにあります。具体的には、時価総額の基準を引き上げ、英文開示の義務付けなどが改正点として上がっています。詳細は検討中ですが、基準が著しく厳しい状況になると、上場企業数は大幅に減る可能性があるともいわれています。

 とりわけ、問題となるのは、現在、東証1部に上場しているのに、再編後、C市場(東証1部に相当)に残れない企業が生じてしまうことです。企業にとって、1部上場は「信用」の証でもあります。銀行融資の条件や、新卒採用で有利に働く部分があります。また、従業員にとっても、住宅ローン借り入れの融資審査に影響するともいわれています。1部上場企業でなくなると、これまで得ていた恩恵にあずかれないことになり、企業や従業員にとっては痛手となります。
 弊害は少なくできるのか、再編の行方に注目です。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】中小企業における先端技術を用いたIT活用 その2

では、中小企業において、具体的にどのような先端技術を用いたIT活用の取組みがみられるのでしょうか。
 そこで「中小企業白書2018年版」において、AIを活用した事例として紹介された株式会社伝習館(本社:鳥取県鳥取市、従業員47名)の事例についてみていきましょう。

 株式会社伝習館は、鳥取県全域で小中高生向けの学習塾を展開する企業です。同社では2017年12月より、e-ラーニングによる教育サービス事業を行う、株式会社すららネットが開発したAIを活用した対話型のデジタル教材「すらら」を導入しました。「すらら」の特徴として、AI機能の搭載により生徒一人一人の回答パターンから弱点を解析して最適な問題を選んで出題するなど、生徒一人一人に合った対応をしつつ、学習意欲向上を促す対話を行う点があげられます。「すらら」の導入で予習をしてくる生徒が増えたことから、予習の有無で生徒の理解度に差が出るという問題が解決され、全体的なボトムアップが図られました。

 また、「すらら」には、復習用の小テストもあらかじめ用意されているため、講師が小テストを準備する手間や時間が省けるようになったことから、その分の時間を個々の生徒の指導やその準備等に充てることができ、サービスの質を高めることができています。また、クラウドを活用しているため、生徒の自宅での学習状況をオンタイムで講師が確認することができ、生徒に対する励ましを適切なタイミングですることができる点が、従来型のICT活用教材とは大きく異なっています。

 このように中小企業においてもAIなどの先端技術の活用によって業務の効率化を図りつつサービスの質を向上させることが可能となるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】中小企業における先端技術を用いたIT活用 その1

2017年5月に経済産業省産業構造審議会より公表された「新産業構造ビジョン」においては、人工知能(AI)、IoT、ビッグデータ、ロボットは第4次産業革命技術と位置付けられています。AIによって機械が自ら学習し人間を超える高度な判断が可能になり、IoTによって実社会のあらゆる事業・情報が、データ化・ネットワークを通じて自由にやりとり可能になり、ビッグデータによって集まった大量のデータを分析し新たな価値を生む形で利用可能になり、ロボットによって多様かつ複雑な作業についても自動化が可能になります。そして第4次産業革命技術に伴い産業構造や就業構造が劇的に変わる可能性が指摘されています。

 「中小企業白書2018年版」に基づき、中小企業におけるAI、IoT、ビッグデータ、 RPA(Robotic Process Automation)の認知度と活用率についてみると、認知率の高い順に、AI(95.1%)、IoT(82.4%)、ビッグデータ(81.5%)、RPA(59.3%)となっています。一方で活用率については高い順に、IoT(5.3%)、ビッグデータ(2.1%)、AI(1.2%)、RPA(1.0%)となっています。このように先端技術は中小企業の経営者にとって認知されている一方で、中小企業による実際の活用は乏しいというのが実情となっています。

 一方で、先端技術の活用有無別に経営状況(売上高、経常利益額、3年前と比べた労働生産性)を見ると、AI、ビッグデータ、IoT、RPAのうちの少なくとも1つ以上を活用している企業は、そうではない企業よりも、売上高と経常利益額は増加傾向にある割合が高く、3年前と比べた労働生産性も向上している割合が高くなっています。
 このように先端技術を用いたIT活用は、経営にプラスの効果をもたらすのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》2019年注目の勤務間インターバル助成金

◆勤務間インターバル導入コースが拡充
 働き方改革法案の1つ、勤務間インターバル制度努力義務化がスタートしました。それに伴って4月より「時間外労働等改善助成金 勤務間インターバル導入コース」の助成金額が最大100万円に倍増しました。

◆どんな助成金なのか
 長時間労働を是正するため、勤務終了後9時間以上の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」を会社の規則にすることによって働きやすい会社を作っていくことが目標の助成金です。休息時間を作るには現状の働き方を効率化して生産性を上げていく必要があるでしょう。効率化を妨げている以下のような企業の課題解決の費用に助成金が出ます。
(1)人手に頼っている古い機械設備・システムで、調子も良くなく効率が悪い。
(2)働いている時間の記録をとっていない、または手書きをしていてはっきりとした労働時間の把握ができていない。
(3)業務上の無駄な作業があるようだが把握しきれていない。労働時間への意識があまりない。
 対策としては(1)であれば在庫管理負担軽減のためのPOS、自動食器洗い乾燥機、携帯型成分分析計、入出荷システム、ダンプカー追加、業務システム、多機能美容機器、3DCAD専用機など様々な業種、機器が対象で効率化UPを目指します。
(2)であれば出退勤管理システム、打刻機器が対象で正しい勤務時間の把握やメリハリのある働き方をサポートします。
(3)のような状態であればどんなにいいシステムや機械を入れても、意識が変わらない限り社内改革は進まないため、外部専門家による業務意識改善研修を受けることができます。

◆助成金の注目ポイント
 この中で注目なのは(1)の課題解決の有効活用です。勤務間インターバル制度を採用することで今まで高くて手が出なかった機械設備やシステムを会社負担も減らしながら導入や更新ができます。例えば11時間のインターバル制度を採用して100万円のシステム導入であれば3/4の75万円が助成金で軽減されます(助成上限は100万円)。働く環境がよくなれば社員も喜ぶでしょうし、機械導入の負担も減らすので一挙両得といえるでしょう。今年度注目の助成金をぜひ活用してみてください!