(前編)政府:2019年10月に消費税率10%への引上げへ!

政府の「経済財政運営と改革の基本方針2018(2018年版骨太の方針)」の原案によりますと、「少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するとともに、現役世代の不安等に対応し、個人消費の拡大を通じて経済活性化につなげるためには、2019年10月1日に予定されている消費税率の8%から10%への引上げを実現する必要がある」と明記されております。

 消費税率10%への引上げにあたっては、教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保等の拡充や低所得者への配慮とともに、消費税率の引上げに伴う駆込み需要・反動減といった経済変動を可能な限り抑制することが経済全体にとって有益であることから、
①消費税率引上げ分の使い道の見直し
②軽減税率制度の実施
③駆込み・反動減の平準化策
④耐久消費財対策などの取組みを進めるとしております。

 上記①では、消費税率の2%の引上げによる5兆円強の税収のうち、従来5分の1を社会保障の充実に使い、残り5分の4を財政再建に使うとしていましたが、教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保等と、財政再建とにそれぞれ概ね半分ずつ充当すると変更しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)2018年度税制改正:企業主導型保育施設用資産の割増償却度の創設!

(前編からのつづき)

 上記の事業所内保育施設の新設又は増設をする場合とは、その新設又は増設をする事業所内保育施設とともにその事業所内保育施設における保育事業の用に供する遊戯用の構築物、遊戯具その他の一定の減価償却資産の取得等をする場合で、なおかつ、その事業所内保育施設につき子ども・子育て支援法による助成を行う事業に係る助成金の交付を受ける場合に限られます。

 なお、2017年度税制改正において、2019年3月31日までの2年間に子ども・子育て支援法に基づく政府の補助を受けた事業主等が、一定の保育に係る施設を設置する場合には、その施設の用に供する固定資産に係る固定資産税・都市計画税の課税標準を最初の5年間、土地及び家屋は、価格の2分の1を参酌して3分の1以上3分の2以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額に軽減するなどの措置が新設されておりますので、該当されます方はあわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)2018年度税制改正:企業主導型保育施設用資産の割増償却度の創設!

 2018年度税制改正において、青色申告書を提出する事業者が、2018年4月1日から2020年3月31日までの間に、子ども・子育て支援法の施設のうち保育事業を目的とするもの(以下:事業所内保育施設)の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る事業所内保育施設を構成する建物等及びその幼児遊戯用構築物等(以下:企業主導型保育施設用資産)の取得等をして、その事業者の保育事業の用に供したときに税制上優遇されます。

 具体的には、その企業主導型保育施設用資産につき、3年間(その企業主導型保育施設用資産に係る事業所内保育施設につきその助成を行う事業に係る助成金で一定のものの交付を受ける期間に限る)、普通償却限度額の100分の12(建物等及び構築物は、100分の15)相当額の割増償却ができます。
 2017年度税制改正において、保育に係る施設用の固定資産に係る固定資産税等が軽減されましたが、引き続き保育施設用資産も軽減されます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

《コラム》外国人就労 新たな在留資格の方向

◆経済財政運営と改革の基本方針
 政府は人手不足対策として、外国人材の受け入れを拡大する為、新たな在留資格を創設する方針の原案をまとめました。現在単純労働の分野で外国人の就業を原則禁止していますが、医師や弁護士等高度な専門性を持っている人材は積極的に受け入れ家族の帯同も認めています。今回の原案による新たな在留資格の対象は、人手の確保が難しい業種の存続、発展の為に外国人材が必要と認められる業種(農業、介護、建設、宿泊、造船)の5分野を想定しています。

◆最長で10年の就労が可能に
 日本では約128万人の外国人が働いています。内訳は①永住者や日本人と結婚した人②留学生のアルバイト③技能実習生④専門性の高い技術者、研究者等です。
 今回は技能実習生の在留期間を3年から5年に延長、さらに10年の就労も可能にする事を想定しています。技能実習生は現在25万8千人で5年前の5倍に膨らんでいます。政府は秋の臨時国会に出入国管理法改正案を提出し来年4月からの導入を目指しています。
 技能実習生は1993年に始まった制度で本来途上国への技術指導が目的でした。日本での就労期間が延びるほど、身に付けた技術を母国で活かす機会が遠のきます。本来の実習生の趣旨は考慮されてはいるでしょうが今後の法の動きが注目されます。

◆今後の方向性
 今回の方針では新資格を得た人が日本語や専門分野の試験に合格すれば、在留期間の上限を撤廃し、家族の帯同を認める案も上がっているという事です。一方で今回の案が技能実習制度を骨抜きにし、事実上の移民政策に繋がるのではという懸念の声も聞こえるそうです。
 法務省では「在留管理インテリジェンス・センター」(仮称)を設けて雇用・婚姻等の情報を一元化し、不法就労を防ぐとしています。外国人労働者の離職、転職等を雇用保険を所轄する厚労省との情報共有、婚姻、離婚等の情報は自治体との連携を進めるとの事です。
 また、外国人留学生の勤務先や勤務時間の管理を強化し、1週当たり28時間の勤務時間を超えると在留資格を取り消す方針だという事です。

《コラム》義援金と支援金

◆災害への寄附を募る動き
 今年は地震・大雨と災害が続いています。被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。災害が発生した際、盛んに各団体が寄附を募りますが、その中には「義援金」と「支援金」があるのをご存じでしょうか?

◆義援金は被災者に渡される
 義援金は、「義援金分配委員会」がとりまとめて、配分対象被災地の自治体へ送金されます。そこから被災された方々へ直接募金を渡すものとなります。
 義援金の特徴としては「自治体への寄附として扱われる」事です。個人が寄附をした場合は「ふるさと納税」の扱いとなりますので、寄附者の所得・控除によって定められている上限金額までの寄附であれば、自己負担を2,000円で済ます事ができます。いわば自分が将来納める税金を、被災地域の救済のための目的税として納める事ができるのです。
 ただし、計算は「ふるさと納税」と同じ扱いになるため、別途ふるさと納税をしている場合は、合算した金額で上限金額を考える必要があります。

◆支援金は支援団体への活動資金に
 支援金は被災者の生活復旧や、避難生活の援助等、各団体が標榜している活動に使われる募金となります。組織が活動するにはどうしてもお金が必要ですし、被災者を助ける細やかな活動という面では、各団体への支援金募金は大きな力を発揮します。しかし支援金は「団体の活動費」になりますから、寄附した人は、適切に寄附金を使用しているかをチェックする必要があるかもしれません。
 個人から公益法人や認定NPO法人への支援金の寄附は、寄附金税額控除が適用されるケースがあり、通常の寄附金控除と税額控除の選択適用ができます。また、寄附先がお住まいの都道府県・市区町村の認定を受けている団体の場合は、住民税の税額控除が受けられます。
 義援金と支援金、どちらも被災者のために、という寄附の意義は変わりません。正しい知識と税の控除の仕組みを知って、効率的に支援を行えると良いですね。

【時事解説】内部留保があるから、投資を増やせるのか その2

「企業経営者は余裕資金(内部留保)が多ければ、工場などの設備投資を増やすでしょうか?」
このように聞かれると、答えにくいかもしれませんので、少し質問の仕方を変えましょう。
 「設備投資を行う一番の要因は余裕資金が大きいことでしょうか?」この答は簡単です。明確に否です。

 カネがあるから設備投資をするというのは合理的な経営判断ではありません。設備投資を行うのは、将来の売上が増えたり、経費が削減され、利益が拡大することが見込まれるからです。現在、手元に余裕の資金があるかどうかは、設備投資を決定する主要因ではありませんし、また、あってはいけません。将来の利益拡大効果が見込まれるにもかかわらず、現在手元に資金がないのであれば、借入を起こして、資金を手当てすればいいだけの話です。資金手当ての問題は投資においては二次的な問題に過ぎません。

 投資は今カネがあるから行うのではなく、将来収益が上がると予想できるから行うのです。つまり、投資のポイントは入口ではなく、出口です。そうした意味で、内部留保(余裕資金)があるから、投資をしろというのは入口の問題に過ぎず、的外れな要請と言わざるを得ません。政府がなすべきことは、企業の意思決定に直接介入することではなく、規制緩和や市場拡大など経営者に投資を拡大したいと思わせる経済環境の整備、すなわち魅力ある出口の創出だと思います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】内部留保があるから、投資を増やせるのか その1

日本の企業は内部留保をためすぎ、資金を積極的に投資や賃金の増加に振り向けないから、日本経済は低成長にとどまるのだと批判されています。また、経済の好循環を持続させるためには、企業の積極的投資増や賃金増加が不可欠だとして、政府側から経済団体に異例の働きかけが行われています。しかし、内部留保が多いから、投資を増やせるだろうという議論の展開には違和感を覚えます。

 まず、会計面の整理をしておきましょう。新聞等を見ると、「内部留保」という言葉は「余裕資金」と混同して使われている場合が多いようですが、会計的にはその両者は明確に区別されます。内部留保とは事業活動によって生じた利益の蓄積であり、会計的には利益剰余金として自己資本を構成します。内部留保は貸借対照表の貸方に出てくる項目です。これに対し、余裕資金は資産の一つとして現金預金(または有価証券)として表示されますから、借方項目になります。したがって、内部留保と余裕資金は直接的につながるものではなく、会計的にはまったく別個に存在します。

貸借対照表の貸方は、資金の調達源泉を示し、内部留保が多ければ、自己資本が多く、財務的に安定していると評価できます。しかし、だからといって、必ずしも余裕資金が多いということにはなりません。内部留保による利益蓄積を固定資産や在庫につぎ込んでいれば、手持ちの現金が薄いということもあり得るのです。

 このように会計的には内部留保の大きさは余裕資金の大きさを保証するものではありません。ただ、内部留保が厚い会社は余裕資金を多額に抱えていることが多いのも事実ですので、以下では、内部留保≒余裕資金として話を進めます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)個人事業税の納期と計算方法

(前編からのつづき)

 個人事業税の計算は、「(収入 - 必要経費 - 専従者給与等 - 各種控除)× 税率」で、専従者(家族従業員)がいる場合には、青色申告は専従者への給与支払額が、白色申告は配偶者の場合は86万円、その他の場合は1人50万円を限度として、それぞれ必要経費として控除できます。

 そして、個人事業税を納付した場合には、その年の租税公課として経費処理できます。
 現在、法定業種は70業種あり、ほとんどの事業が該当し、税率は業種によって異なり、3%~5%とありますが、ほとんどの業種は税率5%です。
 個人事業税の計算式の「各種控除」にあてはまるのは、一律290万円(営業期間が1年未満は月割額)で適用される「事業主控除」と、状況に応じて適用される「繰越控除」があります。
 繰越控除には、損失の繰越控除(青色申告者で、赤字となった場合)、被災事業用資産の損失の繰越控除(白色申告者で、震災などによって損失がある場合)などがあります。
 なお、個人事業税には、基礎控除などの所得控除や青色申告特別控除は適用されませんので、あわせてご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)個人事業税の納期と計算方法

個人事業税とは、個人が営む事業のうち、地方税法等で決められた事業(法定業種)に対してかかる税金です。
 個人事業主は、毎年3月15日までに前年中の事業の所得などを、都道府県税事務所に申告することになりますが、所得税の確定申告や住民税の申告をした場合には、個人事業税の申告をする必要はありません。

 確定申告をしますと、その年の8月に都道府県税事務所から納税通知書が送られてきます。
 納付時期は、原則、8月末と11月末の年2回(休日の場合はその翌日)です。
 納付には、都道府県税事務所や金融機関の窓口、口座振替、コンビニエンスストア(1回分の納税額が30万円以下に限ります)、クレジットカード納付、金融機関等のペイジー対応のATMも利用できますので、ご利用ください。
 なお、年の中途で事業を廃止した場合は、所得税の確定申告や住民税の申告とは別に、廃止の日から1ヵ月以内(死亡による廃止の場合は4ヵ月以内)に、個人事業税の申告をする必要がありますので、該当されます方はご注意ください。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 
価格:

(後編)国税不服審判所:裁決事例などを公表!

(前編からのつづき)

 そして、法人税法関係では、代表取締役が代表権のない取締役に分掌変更したことに伴って請求人が支給した金員について、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえず、法人税法上の損金算入することができる退職給与に該当しないとした事例があります。
 同事例では、当該取締役は分掌変更により、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえないとしたもので、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を棄却しております。

 また、消費税法関係では、請求人が行った商品券の販売は物品切手の譲渡に該当し、非課税取引に該当するとした事例があります。
 同事例では、請求人は、発行を受けた商品券の同一性を保持しつつも、顧客へ販売していることから、当該商品券の販売は、消費税法別表第一第4号ハに規定する物品切手に該当し、当該取引は非課税取引であるとしたもので、消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分を一部取消しております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。