《コラム》チケット寄附金控除とふるさと納税

◆チケット寄附金控除とふるさと納税の違い
 コロナ対策税制の一つで「国が認定したイベントチケットを払い戻さない場合は税の控除が受けられる」という制度ができました。寄附金控除といえば、地場の特産品がお得に貰えるというふるさと納税が人気です。ふるさと納税は「個人の所得や控除によって決まる上限金額」より年間のふるさと納税額が低ければ、基本自己負担は2,000円で済み、それ以外は住民税や所得税が減額されるというのが特徴です。
 チケット寄附金控除に関しては、ふるさと納税だけに許されている住民税をたくさん引いてくれる控除がないため、自己負担は2,000円とはいかず、税を引く額は最大でもチケット代金の50%程度になります。ふるさと納税では適用できない、所得税の「認定NPO法人等寄附金特別控除」が利用でき、所得税率に依存しない減額になる仕組みです。

◆ふるさと納税控除上限に影響しない?
 細かな計算を省略すると、ふるさと納税の上限は「個人住民税(税額控除前)所得割額の2割強」となります。チケット寄附金控除は基本所得税部分(所得控除を選択適用可)も住民税部分も税額控除で、ふるさと納税の自己負担が2,000円で済む控除上限金額の計算式に作用しないため、ふるさと納税の上限が低くなることはありません。
 ただし、年間の寄附総額(チケット+ふるさと納税+その他の控除を受けられる寄附)が総所得の40%(住民税は30%)を超える部分は、寄附金控除自体が受けられなくなるため、実質ふるさと納税が自己負担2,000円では済まなくなる可能性がありますが、個人の所得の3割以上を寄附に費やすというのは、あまり考えられることではないので、大半の方は「チケット寄附金控除とふるさと納税は別モノで特に干渉しない」と考えてOKです。

◆両方の控除手続には注意が必要
 ふるさと納税には、「確定申告しない」「年間で5か所以内の自治体への寄附であること」が条件のワンストップ特例申請制度があります。この制度を使えば確定申告をしなくて済みますが、対してチケット寄附金控除は「確定申告が必須」となっていますから、チケット寄附金控除を受ける場合には、ふるさと納税のワンストップ特例制度が利用できなくなります。ご注意ください。

《コラム》キャッシュレス消費者還元事業からマイナポイント事業へ

昨年10月から行われていたキャッシュレス消費者還元事業は、本年6月に終了しましたが、本年9月からは、マイナポイント事業によるマイナポイントの付与が始まります。

◆マイナポイント事業とは
 マイナポイント事業は、マイナポイントの活用により、消費の活性化、マイナンバーカードの普及促進、官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的として行う国の事業です。国家予算2,500億円が投じられているそうです。期間は本年9月から来年3月までの7か月間です。
 本年9月以降に行われるICカード(電子マネー)・QRコード決済・クレジットカードなどのキャッシュレス決済サービスがこの制度の対象となります。マイナポイントは決済サービスの利用(チャージまたは購入)額に応じて付与されます。プレミアム率はチャージ額または購入額の25%で、上限は5,000円分となります。

◆マイナポイント取得の事前準備
 マイナポイントを取得するためには、以下の事前準備が必要となります。
①マイナンバーカードの取得
 まず、マイナンバーカードを保有していることが前提となります。
②マイナポイントの予約
 マイナンバーカードが入手できたら、次にマイナポイントの予約手続を行うと、マイキーIDが発行されます。自身のスマートフォン、パソコンで手続するには専用のアプリ・ソフトのダウンロードが必要です。パソコンやスマホがない方は、全国各地に設置してある約9万箇所の支援端末で手続ができます。
③マイナポイントの申込み
 続いて申込み手続を行い、利用しようとするキャッシュレス決済のIDやセキュリティーコードを入力します。この手続も専用アプリや支援端末で行います。

◆加盟店側の手続は不要
 キャッシュレス消費者還元事業では加盟店側(小売店、販売店等)に登録手続が必要でしたが、マイナポイント事業では加盟店に登録手続等は不要です。

 

(後編)定年退職者への海外慰安旅行の供与は原則、非課税!

(前編からのつづき)

 これは、定年退職者旅行がたまたま定年退職を機会として行われるからといって退職所得として課税することは必ずしも相当ではないという理由から、定年退職者旅行も原則、非課税とされております。

 また、永年勤続者表彰旅行については、同一人が数回旅行することもあり得るのに対し、定年退職者旅行については、定年退職という通常は生涯に1回しかない機会をとらえて旅行をすることを考慮すると、永年勤続者表彰旅行を非課税とし、定年退職者旅行を退職所得として課税することはバランスを欠くため、定年退職者旅行を原則、非課税とする理由の一つでもあるようです。

 ちなみに永年勤続者に支給する旅行や記念品等は、その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること、 勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること、同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていることの要件を全て満たしていれば給与課税しないとされておりますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和2年7月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(後編)新型コロナウイルス感染症に伴うチケット寄附での優遇税制を創設!

(前編からのつづき)

 具体的には、映画館、博物館(美術館・動物園・水族館を含む)、テーマパーク等の観覧チケット等については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の措置のために閉館・休園となり、前売りチケットの購入者に払戻請求権が発生した場合は適用の対象とされます。

 また、カルチャースクール・スポーツジムなど、繰り返し開催されているイベントや文化芸術に係る催しと共に旅行や食事などとパッケージで提供しているイベントについても、文化芸術・スポーツに関連するイベントであって、その他の要件を満たすものであれば、寄附金控除の対象に該当し、対象となるイベントは、文化庁・スポーツ庁がイベントの主催者の申請を受けて指定を行い次第、同庁のホームページにアップされます。

 なお、減税額については、寄附の合計額から2,000円を引いた額の40%分に当たる金額が所得税から減税され(税額控除方式の場合)、居住する自治体が指定したイベントについては、さらに最大10%分が住民税から減税されるとしておりますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和2年7月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)新型コロナウイルス感染症に伴うチケット寄附での優遇税制を創設!

新型コロナウイルス感染症の影響による政府の自粛要請を受けて、文化芸術・スポーツイベントを中止等したことで主催者に大きな損失が生じている状況を踏まえ、中止等されたイベントの入場料等について、観客等がチケット等の払戻しを受けない(放棄する)ことを選択した場合には、放棄金額の20万円を限度に寄附金控除(所得控除又は税額控除)を受けられる優遇税制が創設されました。

 寄附金控除の対象となるイベントは、
①文化芸術又はスポーツに関するもの
②2020年2月1日から2021年1月31日までに開催された又は開催する予定だったもの
③不特定かつ多数の者を対象としているもの
④日本国内で開催された又は開催する予定だったもの
⑤新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により、現に中止等されたもの
⑥中止等の場合には、入場料金・参加料金等の対価の払戻しを行う規約等があるもの又は現に払戻しを行っているものの要件を全て満たすものとされます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和2年7月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》給与計算と不就労控除

◆控除に対するルール決めが必要
 給与計算において、賃金計算期間途中に従業員が欠勤、遅刻、早退、私用外出等で休み給与から不就労控除をする場合、働いていない分の給与の支払い義務はありませんが、控除のルールを決めておかないと無用なトラブルになりかねません。
 賃金は労働力の対価ですので、不就労(労働力が提供できない)の場合、対価(賃金)はノーワークノーペイの原理からして得られません。ただ月次給与は基本給などの定額項目が多く、定額部分の金額を変更することは煩雑です。そのため月次給与を減額する時の項目やルールが必要になります。

◆不就労控除をする方法
 控除をするには(基本給+手当)÷1か月平均所定労働時間数×不就労控除時間数が一般的ですが、欠勤控除の方法は労働基準法に規定されていません。欠勤控除をするには次のようないくつかの要素があります。
①1日当たりの金額を算出する場合、分母をどうするのか?
ア、「当該月所定労働日数」不就労があった月の所定労働日数
イ、「年平均所定労働日数」1年間の所定労働日数を12で除した日数
ウ、「当該月暦日数」不就労があった月の暦日数
②1時間当たりの金額を算出する場合の分母をどうするのか?
ア、「当該月所定労働時間数」不就労があった月の所定労働時間数
イ、「年平均労働時間数」1年間の所定労働時間を12で除した時間数
③不就労の時間を控除するのか、就労した時間を支給するのか?
ア、「控除方式」遅刻や欠勤で不就労になった時間相当額を控除する
イ、「支給方式」実際に就労した時間相当額を支給

 当該月の所定労働日数で控除すると月により時間単価が変わってきます。また、1年の平均労働時間数を使えば分母が毎月変わらなくていいのですが、1日だけ出勤したときに給与が0になる場合があります。暦日方式は土日祝日の分も支給されてしまうなど問題があります。結局、通常簡便な方法としては年平均所定労働時間数を使う控除方式が扱いやすいと言えるでしょう。

 

《コラム》チケット払い戻しをしないで、寄附金税額控除を受ける

◆「推し」を助ける? 寄附金控除
 「推し」という言葉をご存じでしょうか。「一推しのメンバー」の略語「推しメン」をさらに短縮させた言葉です。以前から使われていましたが、趣味の重層化によりそのジャンルの中で「特に好きな」ものを指す言葉として近年使われています。
 昨今のコロナ禍により、スポーツや文化イベントは軒並み中止や縮小の憂き目を見ています。推したちが苦しんでいる中、「少しでも助けてあげたい」というファン心理を察した……かどうかは分かりませんが、コロナ対策税制の1つに「イベントチケットを払い戻さない場合は税の控除が受けられる」というものができました。

◆払い戻し放棄で税額控除になる
 申請を行い、文部科学大臣指定を受けた主催者側は、チケットを買ったお客さんの払戻請求権放棄の申し入れを受けたら、「払戻請求権放棄証明書」と「指定行事証明書(写し)」を渡します。お客さん側はその2点をもって確定申告することにより、税額控除が受けられるようになります。
 控除される所得税額は(チケット代金-2,000円)×40%(※所得税率45%の場合は所得控除の方が有利)となります。住民税側についての控除も用意はされていますが、政令によって指定された場合のみの対応となりますので、お住まいの自治体により異なります。また、一個人の控除になるチケット代金は年間20万円が上限です。
 チケット代金を全額返金してもらった場合と比べると、この控除を使うと約40%が返金となり、戻りは悪くなります。ただしチケット代全額が主催者側の売上げになるため「推しを助ける」という寸法です。

◆対象にならないものもある
 大前提として、イベント主催者側が国に対して申請をしなければ、この寄附金控除は受けられません。
 国内開催も要件に含まれていますから、海外のイベントだとNGになります。「払い戻しがされた、もしくはされる予定があること」も条件ですから、「払い戻しはしません」というアナウンスがされているイベントの場合は、国への申請が通りません。

【時事解説】インフレ目標に対する違和感 その2

しかし、金融政策の前向きの有効性は減退したとしても、間違えたときの後ろ向きの弊害には依然大きいものがあります。必要以上に金融を膨らませることにより、貨幣の信頼性の失墜を招けば、国民生活は悲惨なものになります。
 もはや、その実力もないのに、できるといってインフレ目標に執着するのではなく、弊害も考慮した金融システムの維持に政策の重点を移した方がいいのではないかと思います。

 さらに、インフレ目標に執着することの弊害をもう一つ挙げておきます。それは物価を高めるということに対する庶民感情としての違和感です。一般庶民の普通の感覚とすれば、物価は低いに越したことはないからです。

 物価が上がることにより、消費が刺激され、生産が拡大し、個人所得が拡大し、経済の好循環が継続するという当局の意図は分からなくもないのですが、今のところ、そんな循環は起きそうにありません。物価上昇は物価上昇単独で終わってしまう危険性が大です。形式的な物価上昇だけを目標とするのであれば、原油価格の上昇や場合によっては消費税の増税も歓迎されることになってしまいます(日銀が目標とするインフレは増税分やエネルギー価格は除いて算定されることになっています)。

 個人所得の増大を伴わない物価上昇は庶民に望ましくはありません。物価上昇が個人所得を増大させるという明確な経路を提示できないなら、インフレ目標への執着は庶民感情からしても合理的な政策目標とはいえないと思います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】インフレ目標に対する違和感 その1

日銀はインフレ率2%を目標に、金融緩和を行ってきましたが、目標達成はなかなか難しい状況です。日銀は目標の達成時期を何度も延期はしてきましたが、インフレ目標そのものの旗は降ろしていません。当初の意気込みが大仰だっただけに、目標の撤回は難しいのでしょうが、そろそろ、インフレ目標に執着することの弊害にも気を付けた方がいいように思います。

 昔は物価のコントロールは日銀の専権事項であることに誰も疑いを持っていませんでした。この間の日銀の金融政策手段は、主として公定歩合操作を中核とする金利政策でした。しかし、民間にマネー余剰が蓄積し、金利が0に近づくにつれ、金利政策の実行が困難になり、日銀の物価コントロール能力に疑問が生じるようになります。ここで日銀の金融政策について大きく2つの見解が対立することになります。伝統的な金利政策は有効でないとしても、非伝統的な量的金融緩和により、物価をコントロールできるとするリフレ派と、量的金融緩和では物価のコントロールは難しいとする反リフレ派です。

 白川前総裁時代の日銀は反リフレ的立場を取っていたのですが、安倍政権の誕生以降リフレ派に転換します。総裁、副総裁以下現在の日銀の審議委員の多くはリフレ派であり、大胆な金融緩和を行ってきましたが、インフレ目標は達成できていません。今でも、インフレにならないのは量的緩和不足だと言っているリフレ派もいますが、筆者はリフレ論争はリフレ派の敗北ということで決着がついたと思っています。日本で物価が上がらない理由は理論的に解明されていませんが、はっきりしているのは金融政策だけでは物価は制御できないということです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

《コラム》令和2年度 産業保健関係助成金

◆新たに副業・兼業者の健康診断を助成
 独立行政法人労働者健康安全機構では、事業者が行う労働者の健康管理、健康教育などの産業保健活動を支援する事業を行っています。例えば、従業員50人未満でストレスチェックが努力義務となっている事業主に対し、実施促進のために支給するストレスチェック助成金など、以下の助成金があります。
<令和2年度版 産業保健関係助成金>
https://www.johas.go.jp/tabid/1689/Default.aspx
①治療と仕事の両立支援助成金(環境整備コース・制度活用コース)
②ストレスチェック助成金
③職場環境改善計画助成金(事業場コース・建設現場コース)
④心の健康づくり計画助成金
⑤小規模事業場産業医活動助成金
⑥副業・兼業労働者の健康診断助成金

 この⑥が今年度から新たに設置されたものです。副業・兼業で働いている人は、一般に1つの企業での就労時間数が短く、健康診断の実施義務の対象外となってしまうことから、この助成によって実施を促進しようとするものです。

◆助成を受けるための要件
 この助成金の対象となる「副業・兼業労働者」とは、a)40歳未満、b) 本業や副業を問わず、雇用されている全ての事業場において1週間の労働時間数が当該事業場における同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3未満、の2点となります。
 助成額は、1労働者当たり1万円、対象者が複数いる事業場の場合は10万円が上限です。申請は5月29日から受け付けがスタートしています。
 副業・兼業での働き方は、まだ法整備が追い付いていないこともあり、企業側にとっては対応が難しい部分もありますが、不安定な雇用環境を背景に広がっていくと考えられます。より優秀な人材を集めるためにも、助成金の活用を検討されてみてはいかがでしょうか。