食べ歩きの消費税率は?

東京ディズニーランドでミッキー型のワッフルを買い、歩きながら食べたら消費税はいくらになるか――。こんな場面を想定したQ&A集を国税庁が作っています。8月1日にも拡充し、並んだ事例は224問になりました。10月の消費増税で初めて導入される軽減税率の周知のためで、ホームページ上で公開中です。

 軽減税率は、酒類を除く飲食料品や、定期購読の新聞の税率を現行と同じ8%に据え置く制度。飲食料品はスーパーなどから持ち帰る場合にのみ8%が適用され、店内で飲食すると外食扱いになり税率は10%となります。ただ、持ち帰りと店内飲食の線引きがあいまいで、税率に迷うケースもあるため、国税庁では事業者から寄せられた具体例をもとに、Q&A集で規定を解説しています。

 8月には、遊園地内の売店で飲食料品を購入した人が、園内で食べ歩いたり、点在するベンチで飲食したりするケースを紹介しました。各売店が管理するテーブルや椅子を使わなければ「持ち帰り」となり、軽減税率の対象となることを明記しました。「遊園地の施設自体は『店内』に該当するのか」という事業者の問い合わせに答えた形です。

 同様の考え方で、野球場などでも、売店前の椅子などを利用すれば10%ですが、観客席で飲食する場合は軽減税率が適用されます。一方、遊園地内のレストランで飲食したり、野球場や映画館にある個室で飲食メニューを注文したりすれば10%となるので注意が必要です。

 また、ファストフード店などに多い食事とドリンクのセット商品は「一つの商品」とみなし、一部でも店内で飲食する場合は外食扱いとなって10%を適用します。ただ単品で購入すれば、持ち帰りのハンバーガーは8%、店内で飲むドリンクは10%といった支払いになります。

 低所得者の負担軽減をうたって導入される軽減税率ですが、事業者や消費者の混乱は必至と言えそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

 

《コラム》増税間近!早めの対応を!キャッシュレス・消費者還元事業制度

本年10月1日に予定されている消費税率引き上げに伴い、経済産業省は「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)」を推進しています。この事業を利用したい中小・小規模事業者は、決済事業者を通じて加盟店登録を行う必要があります。いよいよ引き上げも間近に迫ってきましたので、登録がお済みでない方は、ご契約の決済事業者に手続を確認しましょう。

◆ポイント還元事業制度の概要
(1)消費者還元対象期間
 2019年10月から2020年6月までの9か月間となっています。
(2)対象決済手段
 クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなど、電子的に繰り返し利用できる決済手段が対象となります。
(3)補助対象となる中小・小規模事業者
 原則として、中小企業基本法に定義される「中小・小規模事業者」がこの制度の対象です。ただし、例外として、登録申請の時点で、申告済みの直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小・小規模事業者等は対象外とされていますので、注意が必要です。

◆ポイント還元事業制度で受けられる補助
 この事業では次のような補助を受けることができます(フランチャイズチェーン等は(1)のみ)。
(1)消費者へのポイント還元
 消費者がキャッシュレス決済手段を用いて本制度の対象として登録された中小・小規模事業者の店舗等で支払いを行った場合、個別店舗については購入金額の5%、フランチャイズチェーン等については2%がその消費者に還元されます。
(2)決済端末等の導入の補助
 中小・小規模事業者がキャッシュレス決済を導入する際、端末導入費用の3分の1を決済事業者が負担した場合には、残りの3分の2を国が補助し、中小企業の負担がゼロになる形で導入支援が行われます。
(3)決済手数料の補助
 中小・小規模事業者が決済事業者に支払う加盟店手数料は、3.25%以下への引き下げを条件とし、更に国がその3分の1を期間中補助することとなっています。

《コラム》軽減税率対策補助金と税制特例の適用の仕方

◆軽減税率対策補助金
 消費税率が10%になるに伴い導入される軽減税率制度(複数税率)への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等を対象に、複数税率対応レジの導入や、受発注システムの改修等を行う際(リースによる導入も補助対象)に、次のような「軽減税率対策補助金」の制度が用意されています。

・A型:複数税率対応レジの導入等支援
 軽減税率対象商品を将来にわたり継続的に販売するために複数税率対応レジ又は区分記載請求書等保存方式に対応した請求書等を発行する券売機を導入又は改修する必要のある事業者が使える補助金です。
・B型:受発注システムの改修等支援
 軽減税率対象商品を将来にわたり継続的に取扱うために、電子的受発注システムの改修・入替を行う必要がある事業者が使える補助金です。
・C型:請求書管理システムの改修等支援
 軽減税率に対応するために必要となる区分記載請求書等保存方式に対応した請求書管理システムの改修・導入を行う必要がある事業者が使える補助金です。

◆趣旨と注意事項
 いずれの類型においても、レジ・券売機、受発注システム、請求書管理システムを使用して日頃から軽減税率対象商品を販売・取引しており、将来にわたり継続的に販売や請求書の発行を行うためにこれらを導入又は改修する事業者を支援するものです。
 2019年9月30日までに導入又は改修等し、支払いが完了したものが支援対象となりますが、申請受付期限もあり、事前申請のもの事後申請のもの等の違いもあるので注意して下さい。

◆国庫補助金・圧縮記帳・少額資産
 上記の補助金は、国庫補助金等に該当し、資産の取得になる場合に対応する時は圧縮記帳が出来ます。また、損金算入による圧縮後の資産の価額が少額減価償却資産に該当するときには、全額を損金経理することも出来ます。
 圧縮記帳制度を適用した場合の減価償却資産の取得価額は、圧縮記帳後の金額とされており、少額減価償却資産の判定の価額もそれを承けているからです。
 なお、この圧縮記帳は法人税法本法の制度なので、いわゆる措置法特例の重複適用排除の対象ではありません。

(後編)2017事務年度における輸入品関税等の犯則事件の調査結果を公表!

(前編からのつづき)

 金地金の総重量は約4トンに相当し、課税価格の総額は約186億円にのぼり、金地金の密輸事件以外の主な処分事例として、タオル等の繊維製品や隠元豆等の豆類等の低価申告による関税等脱税事件がありました。

 金地金の密輸に係る処分した事件のうち、約96%(691件)が航空機旅客による密輸で、その隠匿手口は、これまで多く見られたサポーターを使って体に巻きつける手口等のほか、特殊な形態に加工して下着に隠匿したり、モバイルバッテリー内に隠匿したり、体内に隠匿するなど巧妙な隠匿手口が新たに見つかっております。

 財務省は、検査の強化、処罰の強化、情報収集・分析の充実の3つの対策を柱とした「ストップ金密輸」緊急対策の発表と取締りの強化を行っており、2018年度税制改正においては、金の密輸入の増加に対応するため、消費税法を改正し、輸入に係る消費税の脱税に係る罰金額(ペナルティ)の上限を、改正前は脱税額となっているものを、脱税額の10倍が1,000万円を超える場合には、脱税額の10倍に引き上げております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年6月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)2017事務年度における輸入品関税等の犯則事件の調査結果を公表!

財務省は、2017事務年度(2018年6月までの1年間)において、全国の税関が行った輸入品に対する関税及び内国消費税に係る犯則事件の調査結果を公表しました。
 それによりますと、同事務年度に犯則調査に着手した件数は1,456件(前年度1,052件、前年度比約1.4倍)で過去最高となりました。

 処分を行った件数も通告808件、告発33件の計841件(同549件、同約1.5倍)で過去最高となりました。
 処分した事件に係る脱税額は、総額で約17億2,450万円(前年度比約1.8倍)で、内訳は関税が1億1,180万円(同約1.9倍)、内国消費税が16億1,270万円(同約1.8倍)となりました。

 告発件数は33件(同約2.8倍)で、告発分に係る脱税額は、関税が1億309万円(同約2.4倍)、内国消費税が3憶6,250億円(同約2.5倍)の計4億6,560万円(同約2.4倍)となりました。
 処分した事件のうち、金地金の密輸事件が720件(前年度比約1.5倍)で、脱税額は総額で約15億円(同約1.7倍)となり、処分件数・脱税額いずれも過去最高となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年6月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)2018年分の確定消費税額が48万円超は中間申告が必要!

(前編からのつづき)

 また、確定消費税額が「400万円超4,800万円以下」の場合は年3回、2018年分の確定消費税額の12分の3の消費税額とその63分の17の地方消費税額を中間申告して納付します。

 2018年と経営状況が著しく異なる場合は、「前年実績による中間申告」に代えて、各中間申告対象期間を一課税期間とみなして仮決算を行い、これに基づいて計算した消費税額等により中間申告・納付ができます。
 なお、この計算によりマイナスとなった場合でも還付を受けることはできません(マイナスの場合は、中間申告税額は0円)。
 さらに、仮決算による中間申告書は、提出期限を過ぎて提出することはできませんので、ご注意ください。

 また、前年の確定消費税額(地方消費税額を含まない年税額)が48万円以下で中間申告義務のない場合でも、「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出した場合には、その届出書を提出した日以後にその末日が最初に到来する6月中間申告対象期間(その課税期間開始の日以後6ヵ月の期間で、年1回の中間申告の対象となる期間)から、自主的に中間申告・納付することができます。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年6月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(前編)2018年分の確定消費税額が48万円超は中間申告が必要!

個人事業者で、2018年分の確定消費税額(地方消費税額は含まない)が48万円を超える場合は、消費税及び地方消費税の中間申告と納付が必要となります。
 2018年分の確定消費税額とは、2018年分の確定申告により確定した消費税の年税額をいい、期限後申告又は修正申告等が行われた場合には、これらによって確定した消費税の年税額をいいます。
 中間申告の方法には、前年実績による中間申告か仮決算に基づく中間申告の2つのいずれかの方法によることができます。

 前年実績による中間申告は、2018年分の確定消費税額に応じて算出した中間納付税額を記載した「消費税及び地方消費税の中間申告書」及び「納付書」が所轄の税務署から送付されますので、必要事項を記入の上、税務署に中間申告書を提出するとともに、消費税及び地方消費税を納付する必要があります。
 例えば、確定消費税額が「48万円超400万円以下」の場合は年1回、2018年分の確定消費税額の12分の6の消費税額とその63分の17の地方消費税額を、2019年8月31日までに納付します(振替納税の場合は、9月下旬)。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年6月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)日本商工会議所:消費税の軽減税率対策の小冊子を作成、無料配布へ

(前編からのつづき)

 例えば、軽減税率(8%)の対象品目について、まぎらわしい例として「類似品があるもの」を挙げており、特定保健用食品やエナジードリンク等の清涼飲料水は8%ですが、市販の薬やドリンク剤などの医薬品・医薬部外品は標準税率の10%になるとしております。
 また、「飲食用として販売するか否かで、税率が異なるもの」として、飲食用として販売すれば8%ですが、保冷用として販売すれば10%となると説明しております。

 一方、「飲食店向け」では、消費税率変更により検討すべき商品・価格戦略の確認、店内飲食(外食)・テイクアウトに当てはまるかの判断や、出前・宅配、ケータリングの違いなど、食事を提供する場合の税率の確認などの説明が盛り込まれております。
 例えば、出前や宅配などで配達する飲食料品は8%ですが、出向いた先で、料理の盛り付けや調理等を行った場合は、出張料理やケータリングとみなされて、標準税率の10%となると説明しております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年5月7日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)日本商工会議所:消費税の軽減税率対策の小冊子を作成、無料配布へ

日本商工会議所は、「今すぐ始める軽減税率対策(小売/卸売向け・飲食店向け)」を作成し、今後、各地商工会議所を通じて、全国の中小企業・小規模事業者へ無料配布する予定としております。

 この小冊子は、消費税軽減税率対策窓口相談等事業の一環として企画されたもので、今年10月に予定されている消費税率の引上げ等により、特に大きな影響を受けることが予想される小売業/卸売業や飲食業について、具体的な対策などをまとめたものです。

 具体的に内容をみてみますと、軽減税率制度導入により変更が必要な価格表示やレジ設定の確認のほか、「小売/卸売向け」では、軽減税率制度の対象品目の確認をはじめ、軽減税率制度の導入後に価格を誤解されない工夫やイートインに当てはまるかの判断、請求書やレシートへの追加記載事項など軽減税率制度導入により変更となる経理処理の確認、従業員教育の方法、卸売業への影響の確認などが掲載されております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年5月7日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》10%?それとも8%?軽減税率制度の微妙な判定

◆これは消費税が8%の飲食料品?
 2019年10月より、消費税及び地方消費税が8%から10%に上がりますが、「飲食料品・新聞は据え置きの8%」となります。ただし、酒類は10%・外食に該当するものは10%等、中には軽減税率を適用されないものがあります。
 コンビニエンスストアでは、少し前までは「イートインコーナーは休憩用スペースと改めて飲食禁止とし、すべて飲食料品は8%適用」という策を検討していましたが、外食産業などからの反発もあり、レジ付近に「イートインを利用する方はお申し出ください」といった張り紙をすることになったようです。申し出があった場合は標準税率の10%が適用されます。
 国税庁では特設ページで微妙な判定になりそうなケースを解説しています。

◆一体資産は2/3が目安
 おもちゃ付のお菓子や紅茶とカップを併せて販売する等の、飲食料品とその他のものを併せて販売しているものに関しては「一体資産の譲渡対価額(税抜)が1万円以下」「食品に係る部分の価格の占める割合が合理的な方法により計算した3分の2以上」であれば、全体が「飲食料品」として軽減税率の対象となります。ただし、小売事業者等で割合が不明な場合は、1万円以下の商品であれば課税仕入れのときに仕入先が適用した税率をそのまま適用して差し支えないとのことです。

◆老人ホームの食事提供
 有料老人ホーム等で提供される食事は、一食640円以下かつ1日の合計額が1,920円までは軽減税率が適用されます。超過した場合は「超過した部分」だけでなく1食分が標準税率の対応となります。
 また、老人ホーム設置者と、調理業務を委託している業者との取引は標準税率が適用されます。

◆栄養ドリンクの税率
 栄養ドリンクのうち「医薬品」や「医薬部外品」に該当するものは軽減税率の対象とはなりませんが、該当しないものは「食品」に該当し、その販売は軽減税率の対象となります。